島根県の「小さな島」が3年連続で人口増の裏側 人口635人の村でいったい何が起きたのか?
人口減少が進む少子高齢化ニッポン。2019年の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(総務省)をみると衝撃の事実に慄然とする。1月1日現在の人口は1億2477万6364人で10年連続の減少。深刻なのは自然減少(死亡者数が出生者数を上回る状態)で、44万2564人で12年連続の減少、調査開始(1979年度)以来、最大の減少数である。(※本稿では、外国人を除く日本人住民について扱う)。
人口増減を都道府県別でみると、前年よりも増加したのは東京都、神奈川県、沖縄県、千葉県、埼玉県の5都県のみ。自然増加は沖縄県が唯一である。42道府県は減少組だ。
市区町村レベルでは、市区部の81.1%、町村部の89.9%が人口減となっている。全1747自治体のうち人口が増加したのはわずか238で、13.6%しかないのだ。昨年1年間に、出生数が10人未満だった市区町村が92もある。
こうした状況の中で、連続で人口が増加している希有な自治体もある。その中から、人口増加の要因、背景が異なる3つの町村を取り上げていきたい。離島のハンディを乗り越えた島根県・知夫村(ちぶむら)、町のブランド化で活性化した神奈川県・開成町(かいせいまち)、ベッドタウン化に伴うインフラ整備で人気化した沖縄県・南風原町(はえばるちょう)だ。本稿では知夫村を紹介する。次回は開成町と南風原町を見ていきたい。
人口635人の村でいったい何が起きたのか?
島根県沖にある隠岐諸島の中で最も小さな島、知夫里島。面積はわずか13.7㎢。東京スカイツリーのある東京・墨田区とほぼ同じ広さだ。真っすぐに海の中から切り立った知夫赤壁は、2008年から2009年にかけて放映されたNHK朝の連続ドラマ「だんだん」のロケ地になった。
この島にあるのが人口635人(1月1日現在)の知夫村。いったい、どんな村なのか。同村のHPで平木伴佳村長はこう紹介している。一部を抜粋しよう。
「1島1村の小さな自治体で急峻な地形がほとんどを占め、平地(耕地)が少なく農地の集約等が難しく大規模農業等に取り組むことが困難であることはもとより、島外からの企業誘致も見込めない自治体であります。主な産業は畜産・水産と観光です」
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