ハダカで勝負せよ、いたずらに流行を追うな
結局、最初の転職時は、「前職よりポジションや年収が下がるなんてありえない」と強気だったエリートが、肩書に固執し過ぎて孤立し退職に追い込まれた後は、次が決まらないため「もう給与はいくらでもいいから」と泣きつくケースもあるという。
こうしたケースの真逆をいくのが、真のトップ人材だ。自分から「まず現場の経験をさせてくれ」と言う人が多い。「肩書き」という武器を捨て、まずはハダカで中に入りこんで経験を積み人脈を築く方が、その後の成果に繋がることを知っているからだ。
筆者の親しい企業再生のプロの中には、再生を担う新社長就任前に、敢えてそれを伏せて、「現場に入って工場のラインで検品をする」というツワモノもいるほどだ。
まずはハダカで、周りを味方につけつつ、急がば回れの決断ができるか。心配しなくても結果を出せる人材には、肩書などは必ず後からついてくる。
3つめのキーワードは、「流行」だ。
「はやっていることの8割は3年で廃れる。」これは、筆者の持論だが、エリート層の転職でも、一時の流行を追った結果、「こんなはずじゃなかった」となるケースは多いと言う。
転職市場に、流行の企業からの求人が多いのは当たり前だ。問題は、その中から、本当にアツい企業をいかに見極めるかだ。
エリート層は、流行の人気企業からオファーが出ると、勢いで転職を決断してしまうケースが実は少なくない。給与が悪くないのも一因だが、ホンネでは「周囲に賞賛されやすい」からだ。エリートは、実は人の評価に弱く、否定的な情報にはともすれば耳を貸さないことも多い。
だが、いわゆる、「流行」の企業は、人材を急速に増やした後に成長が止まると、足の引っ張り合いが起こりがちだ。 ここ5年で流行り、急激に人材を増やした企業も多いが、今も成長を続けられているのはごく一部だろう。
もちろん未来のことはわからないし、納得したうえでの転職なら全く問題ない。
ただし、企業や自らの将来を、多面的に見られるかどうかがカギになるのだ。
仕事に求めるものは、今だけではなく将来を見据えて決めなければいけない。仕事内容、経験・スキル、報酬、勤務地、今後のビジョン…自分の中で求める要素(ポートフォリオ)を明確にしよう。ビジネスパーソンとして、最も脂の乗ってくる時期は40代以上だ。先を見据えた決断ができるかが、未来をわけることになる。
いまは「積み上げてきたことが、そのまま価値になるとは限らない時代」なのだ。あなたが会社で積み上げていることは、これから、社外に出て環境が変わっても価値があると誇れることだろうか。それは、他人には容易に真似できないレベルだろうか。
ここまで読んで下さって、「いつでもどこでも価値を出せるのは当たり前だし、何を当たり前のことを書いてんだ」と思った方もいるだろう。であれば、ぜひ今の道をそのまま突き進んで頂きたい。もし、内心どこかで「ギクリ」としたのなら、「ハダカの自分」にきっと目を背けていることがあるはずだ。まずはできることからでもよい。是非、新シーズンに向け、新たな決断の参考にしてもらえれば幸いだ。
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