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何でもアリのおきて破り。ウォーホルの快楽 アンディ・ウォーホルって、どこがすごいの?

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おなじみマリリン・モンローの肖像画は、いくつものパターンが作られている。「当時の美術の世界では、ハリウッドの女優を絵画にするなんて、ありえないことでした。高尚な美術の主題にはふさわしくないと考えられていたのです。しかし、ハリウッドが大好きだったウォーホルは、マリリンの突然死にショックを受けて、肖像画を制作しました」。映画『ナイアガラ』の宣伝用写真を転写してシルクスクリーンの版を作り、紙やカンヴァスに刷っている。

同じように、新聞、雑誌などに掲載された写真を基に、著名人の肖像画をいくつも制作した。エルビス・プレスリー、エリザベス・テイラー、なぜかアレクサンダー大王もいる。ケネディ大統領が暗殺されたときは、事件前後のジャクリーン夫人の表情をとらえた報道写真から作品を作り、物議を醸した。

著名人だけでなく、ウォーホルはビジネスとして、1点2万5000ドルの注文肖像画を数多く制作している。おカネを出せば誰でもウォーホル作品のモデルになれるとあって、世界中のお金持ちから注文が相次いだ。基になる写真は多くの場合、ウォーホル自身がポラロイドカメラで撮影した。

大統領と同じものを飲めるなんて!

アンディ・ウォーホル『キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル』1968年 紙にスクリーンプリント 88.9 x 58.7 cm アンディ・ウォーホル美術館蔵 (c) 2014 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society(ARS), New York

ウォーホルは毎日のようにキャンベルスープを飲んでいたという。「われわれ日本人にとっては、インスタントみそ汁の『あさげ』とか『ゆうげ』が、そのまま絵画になっているようなもの。美術の主題になるのは、何かしら特徴のあるものでしたが、あえて誰でも目にする当たり前のものを主題にしたところが、前衛的だったんです」と近藤さん。

大量生産、消費社会を批判しているとよく言われるが、むしろウォーホルは肯定的だったと近藤さんは言う。「大量生産により均一化されたものが、誰でも手に入るアメリカはすばらしい、ウォーホルは『僕も大統領も同じコーラを飲んでいる』と話しています」。

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【手をくださないのに、アート?】

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