どこにもない価値を、生み出す人の習性

あなたに「構想」と「アドリブ」はあるか?

世の中には、爆発的にヒットする商品がある一方、まったく見向きもされずに消えていく商品が山のようにある。いったい、何がその差を生むのか。過去にない新しい価値を生み出し、人々の心をつかむにはどうしたらいいのか。
『新しい市場のつくりかた』の著者である三宅秀道氏が前回記事に続き、その方法について語る。

※(上)はこちら

日本一の、価値創造プロデューサーは誰か

新しい市場をつくるような新しい商品を開発するためには、コンセプトから一新し、その新商品のあるべき外的整合性から構想しなければなりません。企業家はまさにプロデューサー的でなくてはなりません。

日本の経営史を閲すると、最も敏腕な価値のプロデューサーとして活躍したのは、阪急電鉄の創業者である小林一三(1873~1957年)だと私は思っています。

くわしくは拙著『新しい市場のつくりかた』を読んでいただきたいのですが、小林は単に鉄道や百貨店というだけではなく、それらを有機的に結び付けて消費者の生活全体を設計したといえます。小林自身は純然たる文系の人で、技術的に鉄道や建築物をエンジニアリングをすることに秀でていたわけではありません。

阪急電鉄は、列車の運行システムが特に競合他社と比較して優れているがために技術的に競合路線に勝った、というのではなく、百貨店や遊園地などを配した沿線のシステム的開発の合わせ技で、その沿線に住んで暮らすこと自体を魅力的なものにしました(図表3)。

だからこそ、ここで改めて考えたいのは、鉄道も百貨店も、動物園、遊園地、映画館、映画会社などなど、これらの1つとして、ほかでは技術的に模倣できない事業体ではないということです。

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