米国製「ルンバ」に日本勢が勝てないワケ アイロボット社、最高技術責任者に聞く

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家電量販店の掃除機売り場で、よく見かける「ルンバ」。円盤のような形の胴体を縦横無尽に動かして、室内の掃除を自動で行う便利なマシンは、国内で60万台以上、全世界で800万台以上の販売実績を誇るヒット商品である。
ルンバは家電製品の中では掃除機に分類されるものの、実はロボットである。ホンダの「ASIMO(アシモ)」に代表される人型(ヒューマノイド)ではないのでピンと来ない人もいるかもしれないが、人工知能やセンサー技術を駆使し、人間のように自律的に動き、作業ができるという、ロボットの本質は同じなのだ。
この「掃除ロボット」という分野を切り開いたのが、ルンバの開発を手掛けた米国のロボットメーカーであるアイロボット社。1990年にボストンで設立され、米国防総省向けの軍事用ロボットで技術を培ってきた。米軍にも同行したことのある多目的ロボット「パックボット」は、事故後の福島第一原子力発電所に調査に入ったことでも知られる。
ロボットは、人間の生活をより便利、快適、安全にしていく可能性を秘めている。特に日本をはじめとする先進国地域では、今後、ますます進行する高齢化社会向けの介護用途などに、有望な技術となりうる。掃除ロボットのヒットは、これを先取りしている。
だが、日本企業からは「ルンバ」のようなロボットのヒット商品が出てこない。なぜなのか。アイロボット社にあって、日本企業にないものは。日本のロボット産業が抱える課題とは何なのか。6月末に来日したアイロボット社の最高技術責任者(CTO)であるパオロ・パージャニアン氏に聞いた。

ライバル企業の参入は歓迎

――「ルンバ」のヒットをきっかけに、シャープや東芝といった日本企業が掃除ロボットの分野に参入しました。

彼らも長らく、ロボットの研究を進めてきていました。「ルンバ」の成功を見て、掃除ロボットが利益の出るビジネスだという確信を得たのでしょう。他企業の参入は歓迎です。プレーヤーが増え、ロボット産業の成長につながればいい。

――それでも、日本国内の掃除ロボット市場は、「ルンバ」が約7割の圧倒的なシェアを握っています。強さの秘訣は?

アイロボットは本業であり専業のロボットを、長期的に利益が出るビジネスにすることに、集中的に資源を投じています。そこで培った技術やノウハウが、従来の掃除機を手掛けてきた家電メーカーにはなかったことが成功した要素の一つだと思います。

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