米国製「ルンバ」に日本勢が勝てないワケ アイロボット社、最高技術責任者に聞く

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たとえば、従来型の掃除機は、人間の手による大変な作業を前提としており、使用頻度はせいぜい週1回程度。しかし、ルンバのような掃除ロボットは、毎日掃除ができる。コンセントに電源を差し込む従来型の掃除機とは違って、電気使用量を極力抑えなければならず、まったく違う使い方に対応した設計が必要となるワケです。これらは何百とあるうちの例に過ぎませんが、こうした掃除ロボットに必要な知識や経験を持っているのがアイロボットの強みです。

――掃除機に必要な「吸引」に関する技術では、経験が多い家電メーカーに分があるのでは?

ルンバの開発には10年をかけ、技術を磨きました。初代ルンバの発売は2002年ですが、最初の試作品は1997年です。開発や製造に関しては、業務用掃除機や玩具メーカーと提携し、これが大いに役立ちました。家庭用製品のマーケティングのノウハウも得ました。

日本企業は人型ロボットにこだわりすぎている

――日本メーカーもロボットの研究開発には力を入れてきたはずですが、収益につながるロボットがなかなか出てきません。

日本でも「AIBO(アイボ)」などのロボットで、商業的に成功を収めたソニーのような企業はあります。しかし大企業特有の問題として、コア事業の収益安定化に重きを置かれ、ロボットを用いた新規事業への投資は、二の次にされてしまった。残念ながらソニーがロボットから撤退したのは、その象徴でしょう。

――日本のロボット産業が伸びるには、アイロボットのようにロボット専業のメーカーが現れるべきなのでしょうか。

専業の会社が出てくれば、それはそれで非常に良いですが、ソニーでもトヨタ自動車でもホンダでも、大企業がロボットの(収益力のある)商品を生み出すことに注力するようになればと思います。

日本では多くの企業がロボット開発に取り組んでいましたが、多くがヒューマノイド(人型ロボット)にこだわりすぎています。一足飛びにヒューマノイドをつくって、ビジネスで成功させるのは難しい。われわれのように中間段階として、「ルンバ」や「パックボット」といった形態を経ていくのも、やり方の一つだと思います。

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