介護が少ない街、和光市の秘密 和光市のお年寄りは、カジノがお好き?

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――霞が関の官僚だけでなく、全国の自治体から視察団が殺到している、と聞きました。

そうですね。2012年の9月には、天皇・皇后両陛下が和光の「新倉高齢者福祉センター」をご視察されました。器具を使って運動しているお年寄りにお声をかけていただいたり、高齢者センターで小物を作ったり、塗り絵を楽しんでいる様子をご覧いただきました。

今年の1月には、田村憲久厚生労働大臣も来られて、「ふれっしゅらいふパワーアップ」という筋力トレーニングの取り組みを視察されました。楽しそうにおしゃべりしながら高齢者が筋トレをする姿に、大臣は驚いておられました。

ほかにも、視察の希望はひっきりなしです。自治体の一つひとつに個々に対応していては間に合わないので、2~3団体など合同で視察していただいています。それでも、年間300件ぐらいの対応がやっと。日程調整が難しければ、お受けできないケースもけっこうありますよ。

――今後の課題と、それについて、どのような仕掛けを考えておられますか?

街の開発が進んだのは1970年代で、そこから市の人口が増えてきました。

最近も、2013年に東京メトロ副都心線と東急東横線の直通運転が開始されたこともあり、人口が増えています。人の動きが変わってきましたね。朝のラッシュ時など副都心線も混み具合が増してきました。

人口増加に街の開発が追いついていない部分もあり、たとえば和光駅の北側にいくと、未整備の地域があります。これからこういった地域を開発していきます。小学校の数も足りないので、2016年4月に小学校を建設する計画です。

若い人がどんどん流入していることもあり、市全体では高齢化比率15%と低いのですが、大規模な集合住宅では37%という高い比率になっており、高齢化している地域と、そうでない地域がハッキリと分かれています。この2面性は和光が抱える独自の課題であり、高齢者対応のサービスをさらに強化していくにあたり、今後、対応していかなければいけない側面だと認識しています。

そこで、この春には大きな公団がある商業ゾーンに「まちかど健康相談室」を整備します。お年寄りが日常的に血圧などバイタルのチェックを受けることや、保健師、管理栄養士などに相談することができる複合的な施設になります。この施設では、閉じこもり予防のために「喫茶サロン」を常時営業します。

和光の「お家芸」とも言える、小規模で多機能を備えた施設を拡充し、そして公民連携型のサービスをこれからも強化していくつもりです。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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