古都・鎌倉に若手起業家が続々移住するワケ 小泉今日子主演ドラマ成功の影にもブランド戦略

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鎌倉がなぜ今、若い世代の間でブレイクしたのか?(写真提供:鎌倉市観光協会)
 古都・鎌倉が、「住みたい街」として再び人気を集めている。以前から、中・高年齢者を中心に、「リタイア後にゆったりとした町並みの中で過ごしたい」というニーズはあった。だが、それも、今や昔。最近は鎌倉駅周辺を中心に、高齢者が減り、一方で洗練されたライフスタイルを求めて、若者の移住が増えているのだ。
 背景には、住宅開発の変化だけでなく、古都ならではの数々の“仕掛け”がある。2009年に就任した松尾崇市長は、街の活性化を図りながら、歴史的な遺産や景観を守る数々の施策を打ってきた。
 なぜ、人気が再燃したのか。そして、街としての「ブランド」を今後どのように展開していくのか。松尾市長に聞いた。

「定年後に鎌倉」から「今、鎌倉」

――鎌倉に住まいを移す人が増えています。人気が高いために物件を手に入れることが難しく、そのため不動産事業者が空き家情報を流す前に、個人で登記簿謄本を調べて事前に情報を得ようとしている人もいる、と聞きました。いったい何が起きているのでしょうか。

「鎌倉」のブランド力というのは、ここ最近に始まったことではなくて、昔からのものです。「鎌倉に住みたい」という人は根強くいます。

では、「なぜ、今、人口が増えているのか」というと、その要因は、大規模な宅地の開発とマンションの建設、この2つですね。住む場所が増えると、そこに住みたいと手を挙げる人がワッ、と増えてきます。「作れば売れる」といった素地が昔から潜在的にある、ということです。

宅地開発が増えている背景には、相続の影響があります。ここ10年ぐらいのことなのですが、大きな敷地を持っていた人が亡くなられたり、他地域に移られるなどして、そのご子息が土地を相続されたとしても、相続税の関係で相続者が土地を持ちきれなくなって、そこを売るケースが増えています。大きな土地なので、そういった敷地がひとつ売りに出されると、そこに10戸ほどの家が建つのです。

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