スルーされる国・日本に外国人を呼ぶ方法 国家PRのプロ、BBCアドバタイジングが分析

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2020年の東京五輪を契機に、日本は観光立国になれるか。
五輪に向け、政府が掲げた目標は訪日客1000万人。日本政府観光局によると、8月の訪日外国人客数は90.7万人で、前年から17.1%増。今年1月からの累計では686.4万人に達し、1000万人の大台を突破できそうな勢いだ。
ただ、諸外国に比べればまだまだ水準が低い。観光大国フランスは年間8300万人が国外から訪れている。アジアでも中国5570万人、マレーシア2503万人、香港2377万人、韓国1114万人(いずれも2012年)と、日本は明らかに出遅れている。
「空港から都心まで遠い」「案内標識が多言語でない」など、外国人に不親切とはよく指摘されるが、それだけでもないようだ。
世界トップシェアの観光ガイド本『ロンリー・プラネット』の広告営業を行う英国公共放送BBCグループのBBCアドバタイジング。同社は、世界中の観光当局とパイプを持ち、海外にどうアピールすれば外国人観光客を呼び込めるのかのノウハウを持っている。アジア・オーストラリア上級副社長のスニータ・ラジャン氏に、日本の「おもてなし」を世界に知ってもらうための秘訣を聞いた。
東京・浅草寺を訪れる外国人観光客。国内の観光地で外国語を聞くことは珍しくなくなってきた

――2020年に東京五輪の開催が決まりました。

どんな都市でも、オリンピックのホストとなるのはつねにチャレンジングです。それでも、過去に五輪を開催したどの都市も、成功裏に運営しています。日本も独自のやり方で、すばらしい五輪を遂行すると思います。

われわれは、シドニーや北京、ロンドンでも、そうした実例を見てきました。ロンドンでは、みな非常に神経質で不安になっていた。電車の遅延とか、交通の問題とか、事前にいろいろ言われていましたから。でも、街が一体となって、インフラが構築され、ボランティアが協力し、情緒的な経験をアピールすることで、五輪を成功させました。

東京がほかの都市と違うのは、すでに進んだ技術と工学を持っていること。心配には及ばないと思います。

――ただ、日本のインバウンド(訪日旅行客)はまだ800万人強と少ないです。

観光資源が膨大なのに対し、確かに800万人は少ない。もっと多くの訪日客が必要ですね。

韓国のソウルをはじめ他の国は、自分の国というブランドの認知拡大に積極的です。観光地としての認知を向上させ、人々を感化する努力をしています。ほかの国と比べて何が違うのか、どこを観光したらよいのか、明確なメッセージを伝えています。

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