スルーされる国・日本に外国人を呼ぶ方法 国家PRのプロ、BBCアドバタイジングが分析
――どんな点が優れているのですか?
インバウンドで成功している国々は、外国人観光客の、国別の関心の違いにも敏感です。欧州の観光者は、米国の観光者とは趣味・嗜好がかなり違います。当然、中国人観光客とも異なる。
欧米の観光客は長期滞在で日本の伝統や文化に触れたがり、鉄道で都市や地方間を移動したいと考えています。一方、香港やシンガポールから来る外国人は短期の観光客が多く、都市を中心に観光します。だから桜の季節とか、北海道のスキーの時期などを狙ってくる。大阪や京都で食を楽しむことも好きですね。
東京のイメージは単なる都会?
都市に来る客は、基本的にはビジネス客です。だから東京は、その魅力をもっと発信する必要があります。海外からの印象では、東京はビジネス都市で、観光で行く先(デスティネーション)とは必ずしも認識されていない。外国人は東京を日本の玄関口とだけ考えて、すぐほかの地域へ移動してしまう。東京に滞在したら、どんなことを楽しめるのか、丁寧に示すべきです。
BBCアドバタイジングは35を超える観光当局とパイプがあります。PRや国際的なブランド確立などで協業しています。マレーシアやタイの当局には歴史がある。バハマのように皆がよく知らない国もあります。中国の地方都市にもパイプがあります。
2012年には、沖縄県とも一緒に仕事をしました。沖縄がどこにあり、どんな特徴があるか知らない人が多いので、海や空のきれいさ、気候のよさを訴えました。ビジネスで日本へ来ても沖縄へ必ずしも行かないから、欧州や中米などには強い印象を与えています。
日本のディテールが伝わっていない
――日本を紹介するテレビ番組が、海外では少ない気がします。
日本は都道府県が多い。それぞれ非常に個性的で特色があるのですが、平均的なアメリカ人、ヨーロッパ人にはその違いがわからないのでしょうね。私はアジアに住んでいるから違いがわかりますが、南日本と北日本の違い、あるいは東西の気候や人々、習慣、食の違いが、海外ではあまり語られていませんね。
外国人観光客を呼び込むには、観光商品の単純化が必要です。地域ごとに、何がユニークなのか説明できることが大切です。日本はさまざまな意味で、非常にユニークな国です。休日の宿泊や移動にはコストはかかります。単に値段を安くすることではなく、旅行者のタイプに応じた観光商品をパッケージ化することが必要だと思います。
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