――鎌倉は観光名所として有名なため、週末の交通渋滞がひどくて、住民の方も困っておられるようです。この対策についてはどのようにお考えですか?
交通量の規制を検討しています。渋滞対策としてはこれまで、駐車場から江ノ電などの公共交通機関に乗り換えていただくこと、つまり「パーク・アンド・ライド」を10年以上推進してきました。ただ、いまだに交通渋滞の解消につながっていないこともありまして、新たな次の一手を打とうとしています。
そのひとつが、「ロード・プライシング」。鎌倉に入ってくる車に対して料金を徴収する仕組みで、この検討を始めています。流入規制をしながら、そのおカネで環境整備や道路整備を進めるつもりです。日本には例がなく、法的にもクリアしていかなければならない部分があることも事実ですが、国や県も「決して否定する話ではない」と理解を示してくれています。
祝日だけに限定するとか、観光客だけに限定するとか、ロード・プライシングの具体的な仕組みについては、これからの検討課題です。
――財政状況の悪化も、市の大きな課題として残ります。2013年度に、地方交付税制度(国が調整する税の一部を、自治体の財政力に応じて再配分する制度)の交付団体になりました。財政需要額が収入額を約2.2億円上回り、約2066万円の交付税を受け取るとのこと。なぜ、財政面での体力が落ちているのでしょうか。
先ほど街中の緑を守る取り組みについて説明しましたが、その一環で、10年ほど前に宅地開発が持ち上がった山を市が買い取ったことがあります。総額200億円でした。これがいまだに借金で苦しんでいる要因になっています。
財政には、なかなか特効薬というものはありませんが、「若い世代をどう取り込んでいくか」、ということをひとつの打開策として位置づけています。IT企業の経営者層など所得の高い人が移り住んでいただけるような戦略を、これからも展開していきます。
医療費や介護費用の伸びも財政を圧迫する要因になりますので、「高齢者の方がいかに自立していくか」、ということも大きな課題ですね。民間企業と大学、そして自治体でプロジェクトチームを作って、商店街の空き店舗をコミュニティスペースとして活用し、24時間介護や医療などのサービスが受けられるような取り組みを、特定の住宅地で実験的に始めています。
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