30代で「異性の好みが激変」した女性の"視点" 独身生活を謳歌した末に「寿退社」し地方へ

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婚約中に智也さんは北関東の支社に転勤となった。海外赴任ならば休職をしてついていく選択肢もあったが、国内の場合は同じ支社に転勤するしかない。それは2人とも避けたいと思った。

「会社からは東京で働き続けてくれと言ってもらいましたが、新婚で離ればなれになると離婚しそうだと思いました。働きやすい大企業なので周りからは『もったいない』と言われます。

でも、私はこの会社で十分に働きました。夜遅くまで一人きりで残業した時期もありますし、休日出勤が続いたこともあります。30代後半になって体力が衰えてきました。もう無理はできません。建設業界は年配でも体力がある人が多いのですが、私はこのまま同じようには働けないとも感じていました」

今まで智也さんとは一度もケンカをしていない。その理由を「私が暇で余裕があるから」と千恵子さんと冷静に分析する。

「生活におけるタイミングは人それぞれ」と学んだ

「共働きについても話し合いました。私が引っ越し先で仕事を見つけてフルタイムで働くことを再開したら家事も二等分だよ、と伝えたんです。彼からは『家事はしたくない。生活費は全部オレが出すので好きにしていい』と言われました。私もとくに不満はありません。働くとしたら、自分のお小遣い稼ぎためにパートに出るぐらいでしょうか」

男性社会で生きて来た智也さんはガサツなところもある。例えば、菓子パンを食べた後の袋を机の上に出しっぱなしにする。以前の千恵子さんならばいら立っていたかもしれないが、今はそうではない。「生活におけるタイミングは人それぞれ。他人をコントロールはできない」とコーチングを通じて学ぶことができたからだ。

「彼は何かのついでにゴミをまとめて捨てたい派です。私はそのつど捨てたい。彼の目からすると、私はせっかちに映るのだと思います。ならば、目くじらを立てる必要はありません」

智也さんの趣味はひたすら草野球。千恵子さんはたまに東京に習い事に行くことはあるが、高価な洋服を買ったりはしない。性格も趣味嗜好も異なる2人だが、お金の使い方だけは似ている。家賃も安い地方なので智也さんの稼ぎだけでも十分に暮らしていけるのだ。

「週末は別々に過ごすことも少なくありません。お互いに好きだけど、ラブラブの夫婦ではないんです。ある先輩からは『あなたたちが恋人や家族になっているイメージが湧かない。共通点がまったくないから』と鋭い指摘をされたことがあります。今、私たちは平穏に暮らしていますが、先のことはわかりません」

千恵子さんは考えて納得しなければ動けないタイプなのだろう。やや心配性ともいえる。

将来に何が起こるのかは誰にもわからない。ならば、尊敬できるパートナーと一緒にいられる今日を満喫するしかないと思う。その積み重ねでいつの間にか10年、20年が経っている。幸せな結婚生活とはそういうものではないだろうか。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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