中学受験を終えた少年を襲った「想定外の地獄」 「中高一貫で成績を伸ばす学校」のカラクリ

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細身で柔和な印象の田代さんだが、大学に入るまでの数年間、悶絶するような心の苦しみの中にいた(写真:筆者撮影)
また受験の季節が近づいてきた。少子化といわれる中、ここ数年、首都圏の中学受験に挑む児童の数は増加傾向となっている。専門家の話によれば、今年度の受験者数もどうやら増えそうとのこと。こうなると、23区内の場合、受験にまったく関係がないという家族のほうが珍しいのではないだろうか。中学受験をするかしないかの議論はさておき、中学受験をすると決めたからには知っておきたい“リアル”がある。この連載では受験を通して見えてくる、親と子の姿を追う。

中学受験を決めたのは母親の望みからだった

今年、大手企業から内定をもらった千葉県在住の田代賢雄さん(仮名、大学4年生)。大学の門の前で待っていてくれた彼は「わざわざ雨の中いらしていただきありがとうございます」と丁寧な口調で出迎えてくれた。

細身で柔和な印象の彼だが、大学に入るまでの数年間、悶絶するような心の苦しみの中にいた。きっかけは、中学受験。すべての人がこうしたケースに当てはまるとは言わないが、彼のたどった道のりは傾聴に値する。

田代少年が中学受験を決めたのは母親の律子さんの望みからだった。近くの公立小学校に通っていた田代少年は、学校の成績は優秀そのもの。テストではつねに100点を取り、勉強で困ったことはなかったという。

そんな賢さを伸ばそうとしたのだろうか、母親の律子さんは小学3年生の賢雄君を塾の見学に連れていった。「賢雄、うちは中学受験をすることにしたから、中学受験のための塾に入ろうか」。それが入塾のきっかけだった。

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中学受験とはどういうことなのか……当時の賢雄君はよくわからないまま、母親の言うとおり、塾の見学に行くことにした。それもそのはず、賢雄君の住むエリアは中学受験をする子どものほうが少なかったため、周りの友だちが中学受験を話題にすることもなかったのだ。

「母親から言われたのは“中学受験をしておけば、みんながする高校受験はしなくてよくなるから楽だよ”ということだけでした。自分にはとくに意思はなくて、親がそう言うのならばそうなのだろうなと、とくに疑問も持たずに入塾しました」。入ったのは栄光ゼミナール。いくつかの塾を見学し、家からの近さと授業時間の短さが気に入り、ここにした。

次ページはじめの頃はそれほど苦労もなかったが…
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