中学受験を終えた少年を襲った「想定外の地獄」 「中高一貫で成績を伸ばす学校」のカラクリ

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はじめは週に2回ほど。学校の宿題と塾の宿題の両方をこなす生活も、それほど苦労することなくこなしていた。だがほかの子どもたち同様に4年生になると状況は変わったという。塾の授業についていくのがつらくなりはじめた。そうなると、宿題もなかなか終わらない。おまけに、塾で前の席になった女の子からはやたらとちょっかいを出されるようになり、ますます授業に集中できなくなってしまったのだ。

母親には女の子のことは話さず「塾の授業についていけないから塾を替えたい」とだけ伝えることに。母親の律子さんは息子の意見を尊重し、すぐに新しい塾を見つけてくれた。塾の5年生クラスが始まるタイミングで個人経営の塾へと転塾、前の塾に比べて距離は遠く電車で6駅、そこから徒歩で10分という道のりだが、すでに高学年に入った賢雄君にはそれほど苦にはならなかった。問題は成績だ。

「小学校のテストだけはよくできていたのですが、それは井の中の蛙というか……学内での成績がよくても、模試の偏差値は50にいくかいかないかというところでした。模試では結果が出せなかったんです」

好きでやっていたはずの勉強がこの頃からだんだんと嫌いになりだしていく。

賢雄君の場合、模試で結果が出なくても、学校での成績はそのまま好成績をキープ。だからこそ、親は「この子の成績に見合う外の学校へ」と思っていたのかもしれない。

首都圏には受験をして入る中学は山のように存在する。母・律子さんの志望校選びを見ていても”何がなんでも偏差値の高い学校に!”というような「教育虐待」的な雰囲気はまったくと言っていいほど感じない。また、模試の成績が振るわなくともそれほど強く叱ることもないようだった。

流れに任せて決めた志望校

一方、賢雄君の気持ちはと言えば、受験をすることを受け入れてはいるものの、まだどこかひとごとに近い感覚。母親と共に行った説明会でもとくにこれといった希望はなく、流れに任せて偏差値的にも見合っていた塾長が勧める学校を第一志望校に据え、受験を進めることにした。

この中学には大学受験でいうところの“専願者”向けの入試があった。合格した場合、必ず入学することを条件にしている入試だ。

賢雄くんはこの入試を利用して無事に合格。このとき、面白いことが起こる。「普通は合格発表まで合否はわからないと思うんですが、通っていた塾の塾長とそこの学校の先生がとても親しかったようで、合格発表の前に塾経由で合格を知らされたんです」。

事前に合否を聞けるほどの強いパイプを持つということは、賢雄君が通っていた塾は、それだけ多くの児童をその中学に送り込んできたということだろう。

塾の講師も人間だ。好きな学校があるのもわかる。講師によってはやたら同じ学校を勧める人間もいる。それはその人の好みの問題。勧めることをやめろということはできない。親は講師の言葉を鵜呑みにせずに、本当にわが子にとっての最善校か、確かめる必要があるだろう。その後の賢雄君の状態を聞き、強くそう思わされた。

入学したのは自宅から1時間半はかかるという共学校。入りの偏差値の割には出口の大学合格実績がいいことで有名な学校だ。だが、そこにはからくりがある。何もしなくてこれだけの合格実績に結び付くことはない。強制的にたくさん勉強させることで生徒の成績を伸ばしていくタイプの学校だった。

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