サブプライム危機の正念場!信用劣化の悪循環消す公的資金の注入が焦点

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 このため、低利回りの債券に滞留していたオイルマネー資金の一部は、資本が毀損した米国商業・投資銀行からの年9~11%の高利回りが約束された強制転換条項付き優先出資証券(または転換社債)の引き受けに回った。米銀側にとっては、長期金利が低いために滞留していた債券投資資金を使って資本増強を達成できたことになる。

 だが、FRBが政策金利(FFレート)の大胆な利下げ(5・25%→3%)を講じる中、金融緩和はドル安という“副作用”をもたらす。低金利と通貨安が続けば海外からの投資メリットが薄れ、投資資金が高金利通貨に逃げ出すことが通常なら予想される。しかし、昨年12月時点の対米証券投資も約690億ドルの流入が続いており、「ドル安も思ったほど進んでいない。これは『リカップリング(再連動)』論が奏功しているためとしか考えられない」(吉川氏)と分析する。

 昨年12月ごろから主張されだした「リカップリング論」とは、米国景気がリセッションに陥れば、他国も相応の景気減速を余儀なくされるという構図で、相対的に世界経済の減速感が強まれば、米国からだけ一方的に資金流出する事態にはなりにくい。米国景気の予想が「ハッピースローダウン」から「リセッション」に下方修正されたため、それまでの「デカップリング(非連動)」論に取って代わられた理屈だ。米国にとっては、つねに都合のいい景気論が展開されていることになる。

ドル暴落は回避されるが新たなリスクの芽も

 はたして“親米景気論”あがどこまで米国の危機を下支えできるか。2008年はサブプライムローンやAlt−Aなどで、金利や返済額が引き上がる見直し時期が集中する(右グラフ参照)。

 今後は住宅ローンの延滞率やデフォルト率の急上昇リスクが高まることも予想される。また、住宅ローン向け貸し出し態度は厳格化したままだ。優良なプライムローンも53%ポイント近くまで上昇。これが他のカードローンや消費者ローンの厳格化にも連鎖し始めている。

 新たなリスク要因も気掛かりだ。格付け会社のフィッチがシンセティックCDO(合成債務担保証券)の格付けを見直すと発表。これまでは、原債権が住宅ローンと異なる企業向け貸し出しのため「問題なし」との見方があったが、フィッチの発表は証券化商品にも実体経済悪化の影響が懸念され始めたことを意味する。

 さらに、モノラインへの格下げリスクの高まりを受け、地方債の発行形態の一つであるARS(変動利付き地方債)で札割れが起き、TOB(高格付けの固定利付き地方債を購入する特別目的機関)の損失リスクなども上昇してきた。

 「ドル暴落」という最悪シナリオは回避されそうな米国市場だが、今年前半のリセッションリスクがどこまで深まるかは見えていない。
(週刊東洋経済編集部)

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