「FIT終了」で変わる住宅用太陽光発電の活用術 住宅大手は顧客サービスの充実を目指す

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狙いとして共通することが大きく2点ある。1点目は顧客サービスの一環という側面。蓄電池の設置も含め、PVを利用するための筋道を示すことで、卒FITに迫られた顧客の不安解消を目指したものであることだ。

2点目は、ほとんどが「RE100」達成を目指すものであること。これは事業で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄う取り組みのことであり、具体的には買い取った電力を自社の工場や事業所などで活用するとしている。卒FITに伴う取り組みを環境経営に役立てようとしているのだ。

例えば、積水ハウスでは累計700MWh以上のPVを住宅に設置し、年間発電量は約700GWhに及ぶ。その約2~3割を買い取ることでグループの事業用電力(年間約120GWh)を賄え、RE100を達成できるという。

顧客サービスとしての側面が強い

買い取りについてはこのほか、これも顧客サービスの一環として、PVを設置していないOB顧客や賃貸住宅のオーナー・入居者向けに電力を安価で販売する、さらにはRE100の達成を目指すほかの企業に販売するなどとしている企業もある。

ただ、蓄電池を設置するケースを含む買取価格をはじめ、価格の適用期間、大和ハウス工業のように他社が供給した住宅、住友林業のようにリフォーム物件を対象とするケースも見受けられるなど、各社に違いも見られる。

非住宅系PPSとの違いもある。PV電力の売買においてほぼ利益を見込んでいないということだ。ハウスメーカー系では、買い取り対象のほとんどがOB顧客であり、営業経費を極力必要としないからできることだ。

上記のうち、積水化学工業(セキスイハイム)は2018年にPV搭載住宅の累計販売が20万棟を超え、2019年11月と12月で一事業者としては最大規模となる約6万棟が卒FITの対象物件となっている。いずれにせよ、これまでにPV搭載住宅を数多く販売してきた社会的責任もあり、このような取り組みにつながっていると考えられる。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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