学生の内定辞退「マイナスと捉える」会社の盲点 「内定辞退率の低下」を目標にしてはいけない

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私も四半世紀にわたり、採用の実務をやってきました。そこで何度となく内定辞退の憂き目にあいました。ですから、心を込めて採用活動を続けている採用担当者の辛さは痛いほどわかっているつもりです。

内定辞退をされることは、自分が所属している組織を否定されるような気持ちになりますし、ひいては自分を否定されるような気持ちがして、まるで失恋の痛みのように本当に心が痛くなります。

しかし、学生は日々こんな気持ちを味わっているわけです。大企業や人気企業の平均的な合格率は1%前後と言われており、そういうところを受験した学生は日々不合格通知を受け取って、痛みを感じています。そう考えれば、この痛みはつらいけれども受け止めるべき痛みであり、採用担当者としては逃げてはいけないのではないでしょうか。

「当たって砕ける」恐怖から逃げない

結論として私が申し上げたいのは、まずは内定辞退率の高さを悪者扱いしすぎないこと、成功へのステップとして捉えること。数字だけでなく、辞退の中身で評価をすること。優秀者を集めれば競合が激しくなり辞退率が上がるのは覚悟すること。そのうえで、採用担当者自身の口説き能力や自社の魅力の伝達能力を上げることに尽力すること。

つまり「当たって砕ける」ことを恐れずに、優秀人材にどんどんアプローチしていき、内定辞退のつらさに耐えながら、腕を磨いて彼らを徐々に採用できる力をつけていくこと。これが、本来的に採用担当者が向かうべき方向性なのではないでしょうか。

日々、苦しんでいる採用担当者の皆様には酷な提案かもしれませんが、この恐怖を乗り越えていくことができればその先には必ずや優秀な人材が採用できる未来が待っていることをぜひ信じていただければと思います。

曽和 利光 人材研究所 社長

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そわ としみつ / Toshimitsu Sowa

株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して諸事業を展開中。著書等:『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)など。

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