学生の内定辞退「マイナスと捉える」会社の盲点 「内定辞退率の低下」を目標にしてはいけない

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これを実証するのも簡単です。途中で離脱した人の適性検査の結果や属性などを残った人と比較すれば、おそらくそこで出てくるのは離脱した人の方が優秀であることを証明しそうな状況証拠でしょう。

つまり、ハードルを上げて内定辞退率を下げることは、優秀層を排除することで、志望度が高く辞退しない人を集めることなのです。それが本当に望む採用なのでしょうか。私は本末転倒だと思います。

少子化を背景に、おそらく10年、20年続くこの採用難時代において、志望度というものを評価の対象にするのは時代錯誤なのです。今の学生の倍ほどいる、私たち団塊ジュニア世代なら、志望度によってまずふるいにかけて、そこから優秀な人材を探すという順番でもよかったかもしれません。

しかし、今の時代にそんなことをしていたら、志望度は高いが自社へのフィット感は今ひとつという人材ばかりが残ります。志望度は評価するものではなく、採用担当者(最終面接をするような経営陣なども含む)が高めるものです。このマインドセットを変えなければ、知らぬ間に自社の採用レベルは下がっていることでしょう。

今の企業が抱える問題点は?

しかし、内定辞退率を下げようということに関しては、それを指示する経営層と実行する採用担当者の間に、言わば「共犯関係」とでも言えるような状況があるために、なかなか上記のようなマインドセットは広がりません。

経営層は中身を知らないので内定辞退率さえ低ければ自社の採用がうまくいっていると満足する。採用担当者は、上記のようにハードルを高くして採用活動をすれば、頑張って候補者を口説く必要がなくなり、楽になる。

採用の怖いところは、落とした人のことはわからないということです。こんなことをしていれば、採用レベルは下がるはずです。

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