学生の内定辞退「マイナスと捉える」会社の盲点 「内定辞退率の低下」を目標にしてはいけない
もし、内定辞退率の高さを「悪」として、それを下げることを目的化してしまうと、その会社の採用力や採れる人材の優秀さは下がることでしょう。というのも、内定辞退率の数字を単純に下げるだけならとても簡単だからです。要は、「内定辞退しないような志望度の高い人」だけを集めて、採用活動すればよいということです。
採用プロセスにおいて、応募者にとってハードルとなるような仕掛けをたくさん作ることでそれは可能になります。最初から紙の手書きの履歴書を用意させる、重い課題のあるエントリーシートを書かせる、必ず平日昼間の会社説明会に参加しなければ受験できなくする……などのハードルを高める施策をこれでもかとばかりに打てば、最初から自社に対して志望度が高い人しか残りません。そうすれば、内定辞退率は労せずして下がることでしょう。
「途中離脱する人」のほうが優秀な理由
しかし、私はこの方法はあまり適切ではないと考えています。というのも、辞退率を低くするためにハードルを高めることで途中で離脱していく人達のほうが、おそらく(ほぼ確実に)優秀だからです。
とくにこの採用難時代においては、優秀な人材は引く手あまたです。各社と採用を攻めのスカウト型採用(例えば、内定者や社員のネットワークを駆使して学生にアプローチする社員紹介などの活発化など)にシフトするなどして、優秀人材には企業の側からアプローチをしています。多くの会社からアプローチされれば、結果的に優秀な人材は1社あたりの志望度が相対的に下がります(ほかにも多く選択肢があると思うため)。
そんな状況の中、ある会社がやたら高いハードルを設定して「うちを受けたければこのハードルを超えてこい」とでも言わんばかりの姿勢でくれば、優秀な人材は当然ながら「じゃあ、御社を受けるのはやめておきます」となります。
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