小林:まさにそのハブの役割を政治が担わなければならないと思います。鈴木さんはメディアの問題を指摘されましたが、私は政治家として、われわれ政治家が伝える努力をやりきっていないことが問題だと思っています。
政策の背景や目的をしっかりメディアの皆さんに伝えることができていません。なぜできないのか。それは政治家がそうしたことができるプロフェッショナルな人材を雇用できる体制にないからです。今、公設秘書は3人雇用できますが、400万円、600万円、800万円というのが、一般的な年収構成です。
私の事務所では、広報の運用をプロフェッショナルに手伝ってもらっています。それでプレゼンスが上がり、伝えたいことが伝わっていきます。
社会保障改革を世代間闘争にしてはいけない
船橋:最後にもう1つだけ、小林さんに伺います。年金と医療といった世代の公平に関わる問題です。選挙への無関心の問題を指摘されましたが、高齢者のほうが圧倒的に数も多いし、投票率も格段に高いという事実があります。それが自民党の岩盤支持者でもあります。改革のために、いちばん難しいのは、そういった支持層なのか、政治団体なのか、あるいは議員グループか、官僚組織そのものなのか。どうお考えですか。
小林:1つは政治家だと思います。現場に足を運んでしっかり説明すれば、世代間公平が必要であることをわかってくれる方々がこの国にはいると確信しています。そういう意味でも、説明しきる、伝えきる努力が足りないと思っています。
もう1つ、高齢社会でどのように社会保障を実現するのか、明確なビジョンを国民の皆さんに提示できていなかったことも問題です。ですから、小泉進次郎さんと一緒にやってきたことですが、私たちは「人生100年」という言葉を提示したわけです。人生80年を前提に考えてきた社会保障を、人生100年を前提に作り直すのだというビジョンです。
それによってあらゆる考え方が変わります。支えられる側と支える側の境界を65歳で固定していいのか。年齢、性別に関係なく活躍したい人が活躍し、高齢であっても能力のある人は自由に支える側に回る、そのほうが持続可能社会になりませんかという提案もしています。
女性とシニアの社会参画が進めば、消費税数%分の税収が見込めます。それをしっかり進めていけば、社会保障の問題は乗り越えられると考えています。
そういうことをきちんと伝えることができれば、世代間で闘争するということではなく、支え合う社会を作っていけるのだと思います。
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