官僚の人事制度にも問題があります。それを改革したいと思っています。例えば、1度退職しても、霞が関に戻ってこられる仕組みに変えたいと考えています。官僚の皆さんの熱意や能力をそいでいるのは選択肢の少なさだと思うからです。
1度入省したら辞めるまで出られない。辞めたら二度と戻れない。そうした制度では、組織にいる人は上司に従うばかりでリスクを冒さなくなります。結果、組織は硬直化して改革は起こりません。ですから、政治が行政マンの選択肢を用意したいと考えています。
私はNTTドコモという通信の会社で働いていましたが、多くの人を幸せにできると思った通信の世界で規制にぶつかり、ルールを変える側に回りたいと思って政治の世界に入りました。ですから、私はテクノロジーの社会実装で、個人を自由にし、社会をケアすることを政治信念としています。
市民、政策起業家、官僚をつなぐハブとなる
船橋:今、小林さんから官僚の人事制度改革の話がありましたが、元官僚でもあり、元政治家でもある鈴木さんは、どうお考えですか。
同期がいて、いったん辞めて外でなんか楽しそうなことをやって帰ってきたら、中で頑張ってきた人より出世しちゃったとか、難しい問題もありそうですが。実現できると思われますか。
鈴木寛:私は改革はルールだけでは駄目で、ルール、ロール、ツールの3つが大事だと言い続けています。そして、人事は肝ですね。
私は大学に3回行きました。学生時代と官僚を辞めた後と、そして今です。霞が関も3度です。通産省の官僚として、副大臣として、そして大臣補佐です。シンクタンクを含む大学と霞が関を行き来してきたことが、次の仕事の準備にもなり、さまざまな課題をゼロベースで考え直すきっかけにもなり、人脈を作り直すことにもなりました。
外で学んだことや培ったこと、もらったアイデアを霞が関に戻って実現するというサイクルが有効で、そういうことをやる人が霞が関の官僚の、とくに管理職人材の3分の1ぐらいになると相当面白いと思います。それができるのは政治です。
船橋:小林さんからは市民の政治参画、政策参画と、霞が関の働き方改革などの必要性を指摘されました。これには、当然、政治の果たす役割も重要です。