史上最も”ソーシャル”だったのはお坊さん 重源さんのクラウドファンディング

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「坊主丸儲け」というイメージ……

 どんな業界でも、本業での社会貢献が一番パワフルです。

現在、若い僧侶の間で自死対策や災害ボランティアなど社会貢献活動に取り組む人も増えていますし、まだまだそれが一般社会に見えてきていないかもしれませんが、仏教界でもソーシャルな方向に向かう機運は高まっていると思います。

「坊主丸儲け」なんていう言葉が当てはまるのは、本当に一部の限られた僧侶だけです。

多くの僧侶は真剣にさまざまな社会貢献活動に取り組んでいます。しかし、お寺では見た目に分かりやすい社会貢献だけが大事なのではありません。
多くの僧侶が自分の役割の価値を見失い、それを取り戻すためにお寺の外へ出て行きますが、ぜひ自分たちの足元の価値を見直してほしいです。

たとえば一周忌や三回忌などの法要儀式も、遺族にとって亡き人の死を受け入れ、その悲しみに向き合う大切な機会を提供しています。これも社会に対する立派な貢献です。

「宗教儀式が社会貢献?」と思われるかもしれませんが、実はそのことは現代の法律にも書かれています。宗教法人法によると、宗教団体の目的は「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること」と定義されています。宗教法人は公益法人のひとつですから、宗教儀式を行うことは公益性が高いことであると、国も認識しているということです。

私自身はといえば、彼岸寺の仲間と一緒に「古本勧進」や「お寺おやつクラブ」など、お寺ならではの社会貢献活動を広めています。未来の住職塾に参加するお寺を中心に少しずつ輪が広がっています。最近では嬉しいことに、活動の趣旨に心打たれた一般の方も参加してきています。これだけ人がつながりやすい時代ですから、重源さんに負けてはいられません。

きっとこれから、お寺が地域における社会貢献のハブとして活躍する時代がやってきます。といっても住職の力だけでは限界がありますから、お寺×NPOといった組織同士のコラボレーションによる、これからの時代の新たなソーシャルの可能性が切り拓かれるはずです。

社会貢献でお寺とコラボレーション、みなさんからのご提案をお待ちしています!

松本 紹圭 光明寺 僧侶

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まつもと しょうけい / syoukei matsumoto

1979年北海道生まれ。本名、圭介。浄土真宗本願寺派光明寺僧侶。蓮花寺佛教研究所研究員。東京大学文学部哲学科卒業。超宗派仏教徒のウェブサイト『彼岸寺』(higan.net)を設立し、お寺の音楽会『誰そ彼』や、お寺カフェ『神谷町オープンテラス』を運営。

ブルータス「真似のできない仕事術」、Tokyo Source「東京発、未来を面白くするクリエイター、31人」に取り上げられるなど、仏教界のトップランナーとして注目される。2010年、南インドのIndian School of BusinessでMBA取得。現在は東京光明寺(komyo.net)に活動の拠点を置く。2012年、若手住職向けにお寺の経営を指南する「未来の住職塾」を開講。全国各地で各宗派から意識の高い若手僧侶数十名が「お寺から日本を元気にする」志のもとに集結し、学びを深めている。

著書に『おぼうさん、はじめました。』(ダイヤモンド社)『"こころの静寂"を手に入れる37の方法』(すばる舎)『お坊さん革命』(講談社プラスアルファ新書)『お坊さんが教えるこころが整う掃除の本』(ディスカヴァー21社)『脱「臆病」入門』(すばる舎)など。
 

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