以上のことを、別の角度からお話ししましょう。ハーバード大学教育大学院教授のハワード・ガードナーによれば、知能は10に分類できると言われています(MI理論=多重知能理論)。その知能の中に、「言語知能」「論理数学的知能」というものがあります。
一般的には、言語知能は国語、論理数学的知能は数学と捉えられます。例えば、国語が得意で、数学が苦手ということを、言語知能は高く、論理数学的知能は低い言い換えることができるという意味です。
しかし、国語は、「物語・小説系」と「説明文・論説系」に分けられ、前者は「言語知能」で後者は「言語知能と論理数学知能」と考えられるのです。なぜなら論説文は論理構造で出来上がっており、論理的思考がなければ読み解けないからです。
極めて単純化して言えば、「説明文・論説系の国語」は数学的思考も必要であると考えられるということです。ですから、論理的思考が必要な数学ができる子は、本来は「説明文・論説系の国語」ができるはずなのです。実際、理系の子どもたちに、構造的読み方を教えてあげると途端にできるようになったという経験はあまたあります。しかし、多くの子どもたちは、国語と数学は違うと思い込んでいるために、思考の棲み分けをやってしまい、国語と数学の共通点を見抜く思考ができていない状態になってしまっているのです。
「説明文・論説系」の本へシフトを
さて、そこで山本さんのお子さんへのアドバイスです。おそらくこれまで読んできた本は、「物語・小説系」だと推測できます。そのような種類の本好きであれば、中学の国語まではなんとかなります。中学で扱う「説明文・論説系の国語」は論理力がなくても感覚で解けるからです。しかし、高校の国語になるとそうはいきません。まったく異なる次元に突入します。
だからといって、これから読書を「説明文・論説系」の本にシフトする必要はありません。「説明文・論説系の国語」は構造分析ができるようになると読解ができるようになります。量ではなく質を高めることで読解力はついていきます。
そこで、具体的対策としては2つです。1つは、説明文・論説系の国語の問題集(受験用基礎)をやってみてください。問題集を選ぶポイントは解説が詳しいことです。そして高1国語ではなく、高校受験用の基礎がいいでしょう。そのほうが、内容が充実しているケースが多いです。
もう1つは、学校の先生に、文章の分析方法を教えてもらうという方法です。国語の先生でもいいでしょうが、説明文・論説系の国語はあえて数学の先生に聞いてみるという手もあります。実は、構造的、分析的に見ることができる数学の先生の説明のほうがわかりやすい場合があるからです。国語のことは国語の先生に聞きなさいと言われるかもしれませんが、もし快く引き受けてくれる数学の先生であれば、一度聞いてみてもいいでしょう。
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