それにしてもなぜ、読書好きにもかかわらず国語ができる子とそうではない子に分かれてしまうのか疑問に思われると思います。筆者がこれまで3500人以上の小中高生を直接指導してきた中でも、読書好きでも国語ができる子とできない子、きれいに2つに分かれていました。そして、その分岐点は意外なことだったのです。
本の種類が小説・物語系に大きく偏っている
本の種類が説明文・論説系のものも読んでいる
物語系に限らず、論説系まで幅広く読んでいるか
なぜ、本の領域で分かれてしまうのかといいますと、「小説・物語系」と「説明文・論説系」とは文章構造が根本的に違うからなのです。
山本さんも、これまで国語の入試問題を解いた経験がおありだと思いますが、そのとき、「小説・物語系」と「説明文・論説系」がそれぞれ1問ずつ出ていたという記憶はあるでしょうか。そうなのです。現代国語の分野では、「小説・物語系」と「説明文・論説系」でそれぞれ1つずつ出すのです。大学入試センター試験もそうです。なぜ、2種類のタイプを出すのかおわかりでしょうか。それは、思考のプロセスが異なるからなのです。
・時系列(過去・現在・未来)
・5W1H(いつ、どこで、だれが、何をやったか、なぜそう感じたか、どのように感じたか)
単純化して説明すると、上記の2つの構造で成り立っています。基本的に時間軸に沿って書かれ、登場する人物たちに出来事が起こり、心情が変化するという成り立ちです。物語・小説ばかり読んでいると、この思考パターンが身についていきます。
序論(だいたいこんな話)
本論(詳しく言うとこんな話)
結論(要するにこう言うこと)
基本的に3つの構造によって成り立っており、論理的展開が明確です。もちろん、すべての文がこのようになっているとは限りませんが、入試で出題される問題文はこのような構造になっている部分が選ばれて出される可能性が高いため、大方この構造になっていると予め知っておくと考えるコツがわかってくるのです。
この思考ができるようになるためには、読書で説明文・論説系を読んでいるか、または構造の分析の仕方(読み方)を教えてもらわなくてはなりません。つまり、物語・小説系の思考パターンでは、まったく太刀打ちできないということなのです。
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