じわり増える「ネオ和食」とはいったい何か 食通が通うフィッシュバーガーの店も

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「昆布〆フィッシュバーガー」(1000円)は、裏ごしした豆腐に、店で作った昆布とカツオのだしに薄口しょうゆ、みりんを加え、くず粉でとろみをつけた「和風出汁豆腐ソース」を使っている。

「出汁巻き卵ドッグ」(800円)は、ハニーマヨネーズソースを塗った上に、溶き卵にだし、薄口しょうゆ、塩、みりんで味付けし銅製の卵焼き器で作っただし巻き卵を挟む。LLサイズの卵2個を使っただし巻き卵はボリューム満点だ。

だし巻き卵はまんべんなく火が通るように、銅の卵焼き器で焼いている。どのバーガーも必ず「ガリ」が付く(撮影:梅谷秀次)

どれも迫力があるが、「1人で2つ食べる人も少なくない」と、山田貴史店長。徹底的に臭みを消していることもあって、魚が苦手な人でも食べやすい。

11月には渋谷パルコに出店

どの商品にも、「すべての具材が、そのまま食べてもおいしいものを使っている」と山田貴史店長は胸を張る。一貫しているのは、洋風ではなく和風のバーガーにすること。だから、フィッシュバーガーの定番、タルタルソースは使わない。

山田店長は「ハンバーガーは濃い味のソースが合うので、和の食材や調味料でバランスを取るのはすごく難しい」と言う。だから、新商品の開発には時間がかかる。近日中に、締めさばの竜田揚げバーガーを投入する予定だが、ワサビを使うソースの辛さの試行錯誤で、皆が納得する味を出すのに約3カ月かかったという。

「これまであちこちの人気ハンバーガー店へ食べに行きましたが、肉系のハンバーガーは、だいたい想像がつく味しかない。うちはほかの店が考えつかないものを、たくさん作っている。すべての商品が目新しいので、お客様から『こんなメニューはないのですか』と聞かれることも、これまでなかったです」と山田店長は話す。

中目黒の住宅街にたたずむ「デリファシャス」。不動産契約上の関係で、同店舗での営業は9月末まで(撮影:梅谷秀次)

出店の依頼は多く、多店舗化したい考えもあるが、じっくり時間をかけて築き上げてきた味の体系を崩さないよう、地道に拡大していきたいと話す山田店長だが、実は近々移転する予定だ。新しい出店先は、11月22日、リニューアルオープンする渋谷パルコ。不動産契約上の関係で、現在の店は9月末で営業が終わるという。

中目黒の住宅街と渋谷のパルコでは、客層や客の来店時間帯などが変わることが予想される。例えば中目黒はランチ需要が多く、比較的常連客が多かったが、パルコではより夜の時間帯の利用が増える可能性が高い。

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