――志水さんは2018年に独立をされてから、制度を変えたい企業からのニーズはありましたか?
志水:はい、多くの企業の方からご依頼をいただいています。日本企業の多くは新卒採用が中心で、定年まで働くことが前提である日本型雇用管理システムを取っているため、採用した後に社員が生き生きと働くというところまで、これまではあまり目を配れていなかったんです。
制度や仕組みを変えたいなどの問題意識は、多くの企業が持っています。でもそのためには、一人ひとりの社員の個にフォーカスした仕組み、運用に人事が変えていかなければと私は思っています。中には、すでに社内で変化が出てきた先進的な会社さんもありますね。働き方にパラダイムシフトが起きている時代です。今、いちばん変わるべきは人事なんですよね。
青野さん、志水さんが実際に育休を取得して感じたこと
――青野さんは育休を3回取られていますが、社内の反応はどうでしたか? また困難に感じたことがありましたら、教えてください。
青野:育休を取るきっかけは、今も文京区長をされている成澤廣修さんでした。2010年、成澤さんは全国の男性首長として初めて育休を取り、ものすごく話題になったんですね。当時、サイボウズは文京区にありましたから、成澤さんに「青野さんも育休を取ってみたらどうですか?」と言われ、私も同じ年に取得してみました。
1人目が生まれてから9年が経ちますが、男性の育休取得はほとんど増えていませんよね。当時1.38%だった男性育休取得率が、今年で6.16%。50%を超えるには、あと50年以上かかるのか……みたいな(笑)。
実はサイボウズの中でも私が取った後、メンバーはあまり男性育休を取りませんでした。強制的に取らせるようなことをしたくないので様子を見ていたら、ここ4〜5年で人数が増え、男性育休を取得するのが当たり前になってきました。だから一線を超える風土が社内にできるまでは、じっと我慢かもしれません。
日本人は右に倣えで、男性育休を取らないほうがマイノリティーになった瞬間、皆さん一斉に取りますから。強制転勤と同じように、こちらももう一押し、頑張る必要がありますね。
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