「望まない全国転勤」を廃止した会社の秘密 会社側は"失うものの大きさ"を考えるべきだ

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志水:青野さんがおっしゃったように、組織の中で大体10%を突破すると、何事もワッと加速していくんですよ。だから何か新しいことをやろうとする方が社内で増えてきた時に、後押しする場を人事が作ったり、実際に育休を取られた青野さんのような方が「育休はいいものだよ」と話す機会を増やしたりしていく。そうすれば、男性育休に限らず新しい働き方ももっと加速すると思います。

でも、男性も女性も不安は不安なんですよね。職場から少し離れるということに関しては……。

真のダイバーシティーへのまず一歩

青野:私は社長でも不安でしたね。2週間、自分が育休を取って戻ってきた時に、社長の座がなくなっていたらどうしよう……と。でもこれは、昭和の男性の思考なんですよ。自分でも取得中に「なぜそんなことを考えているんだ」と思ってしまいました。

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志水:これは男性も女性も共通して感じることだと思います。私は出産から3カ月後に会社に戻りましたが、やはり青野さんと同じで「自分のポジションがなくなったら、どうしよう」と怖かったですね。でも、いざ産前休暇に入って会社に連絡してみると、同僚に「来なくて大丈夫だから」「休暇中に電話会議も入らなくていいですから」と言われて、呆気にとられて。

日本は同調圧力が強いですよね。何か人と違う言動をすると、反発が強い。だから実際に男性も女性も育休を取られた方が、失敗も成功もオープンに話せる風土を作ることが大事だと思います。人と違うことをする、人と違うことを言うのが認められる社会。ダイバーシティーは、まずはそこからかなと思います。

(次回につづく)

横山 由希路 フリーランスライター・編集者

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よこやま ゆきじ / Yukiji Yokoyama

神奈川県生まれ。東京女子大学現代文化学部卒業。エンタメ系情報誌の編集を経て、フリーに。コラム、インタビュー原稿を中心に活動。ジャンルは、野球、介護、演劇、台湾など多岐にわたる。

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