サイボウズとギャップジャパンの先進的な取り組み
――青野さんにお伺いします。前回の鼎談で、イタリアのナポリでリモートワークをされているサイボウズ社員の一例が紹介されました。サイボウズは、転勤についてどういう取り組みをされていますか?
青野慶久(以下、青野):サイボウズも昔は転勤をお願いして、断る権利をメンバーが持っていました。上司が起案して、社員本人が承認する形です。しかしそれでは生ぬるいということで、「働く場所をメンバーが自分で決めるルール」にしました。社員一人ひとりに主体性を持たせるために、働きたい場所を本人が自ら提案する。受け入れ部署がOKをしたら働ける。現在はそういう形に落ち着きました。
おかげで転勤手当がなくなりました。手当を目当てに、転勤を受け入れる社員もいるかもしれないので。メンバーが自立的に働く場所を選ぶと、今までの報酬の仕組みも変わってくると思います。
中野円佳(以下、中野):その形で会社を動かすと、埋まらないポストも出てくると思います。埋まらないポストはどうされているんですか?
青野:例えば、サイボウズは仙台に営業所を作りたかったんですね。営業部長から市場性も上がっているとの報告があったので、「仙台営業所を作るので、行ってくれませんか?」とお願いすると、「嫌です」と。結局半年以上、仙台営業所が立ち上がりませんでした。
つまり「埋まらないポストは埋めない」のです。埋まらないということは、今いるメンバーが行きたがっていないということですから。
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