パナや日立が事業を売った投資ファンドの正体 日系PE・ポラリス社長が明かす期待とリスク

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――上場子会社を持ち、株価が割安なコングロマリット・ディスカウント状態の会社はたくさんあります。今後のカーブアウトの形態としては、どんなケースが想定されるのでしょうか。

パナソニックのケースは少し違ってきているが、今までは細かい事業を順次カーブアウトしてきた。今後はかなり大型の部分を切り出そうという動きが出てくる。

――パナソニックからはセキュリティカメラ部門を買収しました。

10月1日に(取引は)クローズする。日本市場の半分はパナソニック製だが、アメリカ市場の警察部門や医療分野などに未開拓ゾーンがある。われわれのような外のリソースを投じることで、手つかずの事業を伸ばすことに意味があるのでは。

地方銀行への投資は慎重に考える

――例えば、リーマンショックのような危機時に投資するか否かで、ファンドのパフォーマンスが変わってきます。

(2004年に立ち上げた)1号ファンドのリターンは最上級とは言えないが、そこそこ。リーマンショック前(の2007年)に立ち上げた2号ファンドはトップクラスのリターンだった。アービトラージをいちばんエンジョイでき、時期的によかった。

3号ファンドは、エントリープライスが上がってきたので、2号ファンド並みではなかった。4号はスタートしたばかりでわからないが、それほど悪いリターンにはならないだろう。

ネット投資倍率で2倍がメルクマールで、これを超えると投資家からは優等生だと言われる。5号ファンドはアービトラージがあまり期待できないので、レバレッジとEBITDAの押し上げでしっかり対応していく。そのために、社内にバリューアップグループをつくり、コンサルティング会社出身の人間をヘッドに週の2、3日は投資先に常駐させ、EBITDA改善に取り組んでいく。

――経営難の地方銀行が増えています。どうみますか。

私どもは金融機関を投資対象にしていない。規制業種であることと、社会インフラを宿命として負っている。一定の(業績の)伸びしろはあるが、限界があり、バリューアップの余地があまりないのではないか。

(地方銀行を含めた)金融機関は、私どもへ投資してもらっている。そのお金を使って特定の金融機関に投資していくのはどうか。(地銀への投資は)慎重に考えている。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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