三越伊勢丹、市場が騒然となった買収の顛末

シニア向け旅行会社と一致した思惑とは?

百貨店最大手、三越伊勢丹ホールディングスのTOB予告に株式市場は騒然とした。対象は地味な旅行会社だった(記者撮影)

2月10日の15時前、証券市場に緊張が走った。三越伊勢丹ホールディングスが上場企業のTOB(株式公開買付)について15時30分から会見を行うとニュース速報が流れたのだ。百貨店業界の再編や、不振のアパレル企業の買収などさまざまな憶測が飛び交い、株価が変動した。

が、実際に発表したのは東証2部上場で、シニア向けのパッケージ海外旅行を催行するニッコウトラベルという地味な会社へのTOBだった。

三越伊勢丹ホールディングスは直近の株価に3割ほどプレミアムを乗せた1株390円、総額36.78億円でTOBをかける。売上高が1.2兆円、営業利益300億円超える三越伊勢丹ホールディングスにとっては小さな買い物だろう。

シニア向け海外ツアーに特化

シニアに特化することで差別化を図ってきたニッコウトラベル(記者撮影)

ただ、ニッコウトラベルは無借金で、2016年12月末時点の現預金は23億円となっており”お値打ち”な買収とは言えそうだ。

三越伊勢丹ホールディングスは2月13日から3月23日までTOBを実施。発行済み株式数の2/3(自己株を除く)を取得する計画だが、筆頭株主の久野木和宏氏と親族とは応募契約を結んでおり、すでに40%強を押さえている。

その先の日程は公表されていないが、株式の2/3超を取得して、4~5月に臨時株主総会を開催するか、6月の定時株主総会での、特別決議を経て上場廃止となりそうだ。

それにしてもなぜ旅行会社の買収なのか。百貨店事業の低迷を受け、最近の三越伊勢丹ホールディングスは多角化を推進している。ブライダルや飲食事業の強化に加え、今年1月にはエステ大手ソシエ・ワールドを買収した。

三越伊勢丹ホールディングスが今回手中に収めたニッコウトラベルは1976年設立、1999年に上場した旅行会社だ。前2016年3月期は売上高43億円、営業利益1.9億円。主力は前述の通り、シニア向けの海外パッケージ旅行の販売で、顧客の90%が60歳以上、70歳以上が過半を占めている。

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