パナや日立が事業を売った投資ファンドの正体

日系PE・ポラリス社長が明かす期待とリスク

――外資系PEと比べて、日系PEの強みは何ですか。

日本のファンドもいい人材を投じ、それなりの実績やノウハウもたまってきた。アメリカのファンドだと、日本にきて投資をしても、その意思決定は本国。しかし、日本のファンドであれば、意思決定のタイミングも早い。

――ポラリスが投資先の企業価値を上げる際、どんな点に留意しているのでしょう。

投資からイグジット(売却)までの付加価値のつけ方には、大きく3つある。1つはレバレッジドバイアウトという金融的エンジニアリング。2つ目は、EBITDA。売り上げを伸ばすか、マージンを上げるかだ。3つ目がアービトラージ。買値と売値の差、つまり安く買って、高く売れるかだ。

しかし、(PE間の)競争が激しくなると、エントリー(買収価格)が高くなるので、アービトラージは厳しくなる。売り上げとマージンの向上をハンズオンで真剣に取り組み、EBITDAを引き上げるのがミソで、例えば経費節減は「マッスルプロジェクト」と呼ぶローコストオペレーションのプロジェクトを推進している。

パナソニックや日立はなぜ事業を切り出すのか

――ここ1、2年、パナソニックや日立、富士通などが売り手となるカーブアウト案件をポラリスは相次いで手がけています。大企業に何が起きているのでしょうか。

大企業は、コア事業を伸ばすために、さらなる投資資金を必要としている。設備投資やM&Aのための資金を捻出するために、非コア事業の売却を検討している。他人の資本をうまく活用し、非コア事業を完全売却することで、違うリソースに集中することに、かなり舵を切ってきた。

これには投資家からのプレッシャーもある。今後も東芝やNEC、LIXILなどの実績が出ており、まだ取り組んでいないが、今後カーブアウトをやろうと考えているところも多くなっている。機運はものすごく高まっており、15年間でかなり変わったな、と思う。

(ポラリスがカーブアウト案件をとれているのも)カーブアウトの実績、ノウハウがあるところが評価されたのではないか。ただ、これから(ポラリスが)企業価値をしっかり上げられるかは、いまは様子を見ている。

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10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

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