パナや日立が事業を売った投資ファンドの正体

日系PE・ポラリス社長が明かす期待とリスク

――PE界に追い風が吹いていますね。

PEが全体でうまくいっているかというと、そうではない。大手証券会社が立ち上げた(自己資金で企業に投資する)キャプティブファンドは(消えて)なくなった。

ただ、外資系ファンドもいったん撤退したが、再び日本にビジネスチャンスがあるとみて、飛び込んできている。

何より、日本のバイアウトに対する海外投資家の目線が変わってきている。アベノミクス以降、経済は安定している。政治の安定も海外投資家からすると安心感がある。

日本は大企業のカーブアウトや事業承継案件が頻繁にある。割安に投資もできる。メガバンクも低金利で融資してくれる。これらの点から日本に投資したいという投資家が増えてきた。

今秋、1500億円規模の新ファンドを立ち上げ

――日本のPEはファンドサイズが小さく、海外の巨大投資家は投資しにくいのではないですか。

海外のSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)や年金基金、アメリカの大学基金などはかなり大きい。最低5000万~1億ドルを出してくる。したがって、日本のファンドも1000億円以上の規模がないと、彼らの投資目線に合わない。

木村雄治(きむら ゆうじ)/1961年生まれ。東京大学教養学部卒。アメリカ・ペンシルベニア大学ウォートン校MBA。1985年日本興業銀行入行。2004年ポラリスを創業、代表取締役社長に就任し、現在に至る。2019年日本プライベートエクイティ協会長に就任(撮影:今井康一)

お金を集めたが、「ドライパウダー」と言って、お金を余らせて投資期間を終了するケースも過去にはあった。

投資家が求めるリターンはネットベースのIRR(内部収益率)で15~20%が最低限だ。しっかりしたトラックレコード(投資回収の実績)があって、規模もあり、きちんとした投資コンセプト、投資チームも持っている。そういうファンドが選別されている。

――ポラリスはこの秋、5号ファンドを資金調達する予定です。

10月末から11月のタイミングで1500億円の資金調達を計画している。ポラリスは、1号の300億円から始めて、500億円、750億円と規模を大きくしてきた。直近の4号ファンドは750億円のサイズだが、投資ペースが速く、ほぼ3年弱で投資を終えてしまう。

今回の1500億円はサイズ感として無理はない。カーブアウト案件は増えており、事業承継も相変わらずある。大企業がカーブアウト案件を出すときに、1500億円のファンド規模を持っておかないと、(買い手は)外資系ファンドだけになってしまう。その意味で(ファンドの)サイズはものすごく重要だ。

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