シダックス、カラオケ事業売却に至った事情 会長は「撤退を否定」するが、自主運営は断念

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かつてシダックスの旗艦店が入っていた渋谷の本社ビルは、現在ニトリが入居する(2017年編集部撮影)

「一部の報道で、シダックスグループがカラオケから撤退するという記事が出たが、それを撤回させて欲しい。われわれはカラオケ事業からの撤退は考えていない」

シダックスの志太勤一・会長兼社長は投資家向けの説明会で、そう主張した。

さよなら、カラオケ事業

5月30日、シダックスは「カラオケ館」を運営するB&V社と資本業務提携し、カラオケ事業を営む子会社を売却すると発表した。譲渡予定日は6月7日、金額は未定。

シダックスにはカラオケ事業を営む会社が2つある。1つは子会社(出資比率100%)のシダックス・コミュニティー(SC)。もう1つが不採算店舗を集めた持ち分会社(同35%)のシダックストラベラーズコミュニティー(STC)だ。今回、シダックスはSC社の株式の81%をカラオケ館の運営会社に譲渡。子会社だったSCは持ち分会社になると見られる。持ち分会社だったSTCは連結から除外される。

売却するカラオケ事業の直近の業績は売上高176億円、セグメント損失は10億円、資産は約99億円に達する。

会社側によれば株式と債権の譲渡損失、繰延税資産の戻り益を計上する予定だが、詳細は精査中だ。これでシダックスの足を引っ張ってきたカラオケ事業が完全にグループ外となる。

売却先のカラオケ館は現在、業界2位級の規模があるとされる。繁華街立地に強く、郊外立地に強かったシダックスと重複感がない。シダックスはSCに19%の出資を続けることで、食材や消耗品の配送・販売など一部事業での関係を持ち続ける計画だ。この点を持って会社側は「撤退ではない」と説明しているようだ。

シダックスは、1959年に富士フイルムの社員食堂の請負から始まった会社だ。現在も社員食堂や病院食堂、関連の食材配送などコントラクトサービス(食堂受託運営)が主力事業になっているほか、近年では車両運行や施設管理、学童保育などを伸ばしている。

カラオケのイメージが強くなったのは、一時期は業界で圧倒的な存在感を示していたからだろう。同社は1991年、それまで運営していたファミレスを改装し、カラオケ店に実験参入した。

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