U18侍ジャパンが今回も優勝できなかった背景

高校球児たちにとって国際交流の場にすべき

釜山から車で1時間ちょっとで行ける場所で、野球の国際大会が開かれているのに、まったく知られていなかったのだ。

韓国が3位決定戦で勝った9月8日夜のスポーツニュースの最後にようやく取り上げられたが、それまではメディアで見かけなかった。日本とは大きく熱量が違ったといえよう。

他国の関心度は、詰めかけているメディアの数でわかる。アメリカやカナダなどもごく少数のジャーナリストが来ている程度。試合はWBSCがネット配信している。日本は独自にテレビカメラが来ていたが、それもかなり特別なことだった。

日本代表対南アフリカ代表の試合の様子。観客は数百人程度の小さな球場だ。中央に多く陣取るのは日本メディア(筆者撮影)

球場周辺では、ユニフォームを着た各国の選手が移動するのを見かけた。みんなゆったりリラックスして楽しそうだ。他のチームとすれ違うと、言葉を交わしたりもしていた。

国際大会は「野球のお祭り」という側面がある。ここで選手や指導者の国境を越えた交流が生まれたりする。

また、大会、試合の運営は、各国のスタッフや審判が担当している。国際大会は、いろんな国の担当者が力を合わせて作り、盛り上げるものなのだ。現地の関係者からは、国際大会ならではの交流のエピソードも数多く聞いた。

とにかく「世界一」という執念

しかし日本チームだけは、日本のメディアの取材には応じるが、他の国の選手などと交流するシーンは多く見かけなかった。日韓は今、難しい関係になっている。高野連もそれに配慮したのだとは思う。

韓国に入るときに日の丸の入っていない白いポロシャツを着用したことには、賛否両論があった。もちろん、この日本高野連の配慮には、一定の意味があった。日の丸入りのシャツでも99%問題はなかっただろうが、それでも1%のリスクがあったかもしれないからだ。白いポロシャツにすることで、そのリスクはなくなる。取り越し苦労かもしれないが、その配慮は慎重でよかった。しかし、会場に入ってまで、そんなに堅苦しくする必要はないと感じた。

そうなるのは、侍ジャパンが、今回のワールドカップで目指していたものが他のチームとは異なっていたからといえる。

野球にかかわらず、ジュニアスポーツの国際大会でいちばん大事なことは、本来は「見聞を広めること」のはずだ。異なる言語が飛び交う、異文化の環境下で、国内とは違う競技スタイルの相手と試合をする。これによって、競技者としての視野がぐっと広がるはずだ。また他国の選手や地元の人々と交流することで、コミュニケーションのレベルも上がる。そういう経験を何度もするうちに、世界の大舞台に通用するアスリートが生まれるのだ。

今回の侍ジャパンは「世界一」しか眼中になかった。そのためにすべてを注力している印象があった。その意識は、選手よりも監督、コーチなどにより強かったように感じる。そして日本のメディアも「日本は世界一になるか?」以外にはいっさい関心がないように見えた。会場では終始、侍ジャパンの選手を追いかけまわしていた。

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