16歳、中高一貫校生の彼が高校に進まない理由 教師でも親でもない大人と出会い進路を変更

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もう1つ、進路に影響を受けたのが「Wekids」という代官山にあるゲーム関連会社の女性CEOに話を伺ったことです。彼女は中学生のとき、日本の教育に不満を持ち、イギリスに留学しました。そこで聞いたイギリスの自由な学校生活や、生徒中心の授業制度がとても魅力的に感じました。その後、自分は留学したいと考えるようになりました。

――中学時代の企業訪問は、高校選びにどう影響したと思いますか。

いちばん実感したのは、接する人が変わると意識が変わるということです。これまでの学校生活では、先生と親くらいしか、大人と接する機会がありませんでした。でもフィンランド人のゲーム開発者や、社会人の留学経験者などに話を聞いて、イギリス留学が選択肢の1つに入りました。

イギリスのボーディングスクールを選ぶ際は、父の知り合いの同時通訳者の方に協力していただきました。まずインターネットや本でお気に入りの「ハリーポッター」の雰囲気がある学校を探し、「1クラス8人程度」「日本人0人」などと条件を加えて、5校に絞りました。そして現地の学校を訪問し、入学試験も受けました。

入学試験は面接と数学だけ。面接では自分の長所や入学志望理由を聞かれ、数学のテストは日本で教わったことと同じような内容をおさらいする程度でした。何とか無事合格。中学卒業後の今年4月以降は、ベンチャー企業でインターンシップに参加するなどしてイギリスへの渡航費を稼ぎながら、9月の入学に備えて英語塾に通って勉強していました。

異なるバックグラウンドの人と多く接したい

イギリスの高校の授業は、生徒が興味や必要に応じて自由に選べます。ビジネスや心理学、ドラマなどの教科もあり、かなり専門的に学ぶことができるようです。ディスカッションやプレゼンテーションが中心で、クラスのメンバーや先生が毎回変わることにもひかれました。

9月に入学したら、英語を日常的に使わざるをえない環境に身を置くことになります。そこでの英語は、これまでのように授業で学ぶものとは違い、ほかの授業を理解したり、友達と会話したりするために不可欠なツールになります。そうしたツールとして、英語をどこまで使えるか不安もあります。

でも異なるバックグラウンドの人と多く接して、いろんな意見に触れられるのは、それ以上に楽しみです。将来やりたいことはまだ見つかっていませんが、イギリスでそのきっかけを見つけられたらと思います。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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