16歳、中高一貫校生の彼が高校に進まない理由 教師でも親でもない大人と出会い進路を変更
――とくに印象に残っている企業訪問は何ですか。
2つあります。1つは、中学3年の夏休みにフィンランドに行って、「Supercell(スーパーセル)」というゲーム会社の本社を訪れたことです。僕のクラスの男子全員がやっているほどの人気スマートフォンゲーム「Clash Royale(クラッシュ・ロワイヤル)」「Clash of Clans(クラッシュ・オブ・クラン)」を作っている会社です。
「こんなに面白いゲームを作っている人や職場を見たい」と思い、知人のつてでスーパーセルのフィンランド人の社員を紹介してもらい、メールで連絡を取ることができました。
フィンランドには同じクラスの友人に声をかけ、2人で行きました。中学生2人だけで海外の企業を訪問することは、もちろんハードルは高かったです。
でも僕は小学生時代から、親に連れられてよく海外で休暇を過ごしていました。中学1年の春休みにはニュージーランドの現地学校に1人で放り込まれ、何とか英語でコミュニケーションをとった経験もありました。そうした経験と、「もっと積極的な自分に変わりたい」という思いもあって、フィンランドに行こうと決めました。
現地でお会いしたのは、Einoさんという30歳くらいの男性のゲーム開発者。緊張しましたが、こちらの質問に丁寧に応えていただき、次第に打ち解けました。
質問は事前に日本で準備しておきました。帰国子女の友達や学校の先生に、英語でどう質問すべきかを聞いておいたのです。「Are there any things that I can do now to join Supercell?(スーパーセルに入るために今からできることはありますか?)」と質問すると、「Make something that you are intrested in now.Also, it is important to think player first and to think what can you do for them.(今興味あるものを作ってみよう。また、プレイヤーのことを第一に考え、彼らのために何ができるかを考えるのも大切だ」と答えてくれました。
世界で活躍するには英語が必須
とくに印象的だったのは、僕が「中高の勉強でやっておけばよかったと思う教科はありますか?」と聞いたときの、Einoさんの回答でした。
「Nothing.We can’t know the future and we also can’t go back the past,so it is more important to look toward rather than regreting(ないよ。私たちは未来を知ることも過去に戻ることもできない。後悔するより前を向くことのほうが大事だ)」と言われました。
英語があまりわからなかった当時の僕でも理解でき、心に響いたのを覚えています。
改めて認識したのは、世界で活躍するには英語が必須ということ。現地の日本人従業員も英語でやりとりして、とてもかっこよく見えました。ただ正直、僕が理解できた英語は全体の3分の1くらい。自分の考えも全然伝えられませんでした。その悔しさが、もっと英語を勉強しようというエネルギーになりました。
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