アップル「ホームポッド」2台使いが秀逸すぎる デジタル音楽のためのユニークなスピーカー

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HomePodを1台で使っている場合、音楽を細かく聞く、というよりは部屋全体を音楽で満たす「最適化」を担ってくれる存在という意味合いが強かった。

気軽にSiriで音楽をリクエストして流しっぱなしにすることができ、スピーカーの位置を感じさせず、わりとどこでもいいバランスで音楽を聞くことができる点が優れた点だった。これは360度全方位に7つのツイーターを配置しているHomePodのデザインによるものといえる。

1台でも部屋を自動認識してステレオ再生が楽しめる。7つのツイーター(高音用スピーカー)、6つのマイク、1つのウーハーが搭載された円筒形で、2.5キロとずしりと重い(筆者撮影)

HomePodは、手元のiPhoneやiPadから音楽をコントロールすることができ、各部屋で別々の音楽を鳴らしたり、家全体で同じ音楽を再生することもできる。

ただ、複数台のHomePodを手に入れる予定があるなら、ぜひ1つの部屋に設置すべきだ。HomePodは2台1組の「ステレオペア」を設定することができ、その部屋の音楽環境を大きく進化させるからだ。

HomePodを同じ部屋で2台目のセットアップを行うと、すでに設置されているスピーカーとペアリングをするかどうか尋ねられる。ここでペアリングするよう設定すると、右・左と設置場所を設定して、左右1組のステレオペアが完成する。

そのうえで音楽を再生し始めると、再びマイクを用いて部屋の反響に加え、双方のスピーカーが鳴らしている音を分析し、その部屋に最適なステレオ再生環境を設定してくれる。この作業はHomePod2台が自動的に行ってくれるため、ユーザーが手を施すことはなにもない。

ステレオペアに設定されたHomePodが流す音楽は、それまでとはまったく別世界となる。

それまでは部屋で音楽を満たす、という目的が強く感じられていたが、ステレオペアのHomePodはより音楽を真剣に楽しむモードにスイッチしたような印象を受ける。

単にスピーカーが増えたことで音が大きくなったり音位が明確に分かれただけでなく、ボーカルや主たる楽器の音がより際立ちながら、音の広がりがより拡大していくような印象を受ける。同じ製品を2つ使って、異なる目的を満たしてくれる点は、意外だった。

A8プロセッサーで音をデザインする

アップルによると、HomePodにはiPhone 6で用いられていた64ビットプロセッサー「A8」が搭載されており、iOSが動作しているという。

しかしながらiPhoneのように直接画面をタッチして操作することはできず、本体でできる操作はボリュームコントロールと、画面上部のインジケーターに触れてSiriを起動したり、音楽を止めたりするだけだ。

A8はiPhoneのように、Siriをはじめとする音声アシスタントや個人の情報に基づいた応答を行ったり、Apple Musicから音楽をストリーミングするだけではない。

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