新人研修でラジオDJする福島のガス会社の凄さ 世界最先端の社員教育を自然に実現していた

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私の中には「学びがあれば、すべて研修」という考え方があるので、「これは研修になる」と思えば、どんなこともすぐに研修化してしまいます。ただし、「研修を通じて何らかの学びを得られればOK」という緩いスタンスではありません。

『福島の小さなガス会社がやっていた 世界最先端の社員教育』(あさ出版)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

例えば、ラジオDJ研修では「チャレンジ精神」「自分の頭で考え、行動する力」など、研修を実施する側として、明確にそこから「学んでほしいこと」を設定して、研修中に働きかけています。

こうした研修を、スタンフォード大学の最先端のキャリア理論「計画的偶発性理論」(個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。

その偶発的なことを計画的に導くことでキャリアアップをしていくべきというもの)を自然に実践していると評価していただき、福島大学の先生が「計画的無意識性人財育成戦略」と命名してくださいました。

研修の成果は?

では、研修が実際にどのような成果を生み出しているかと問われると、正直それが見えにくいところはあります。会社全体の売り上げは、この10年で見ると、グループ全体で倍増しています。この成長は、研修を実施し始めた時期と重なりますが、この間に、研修によって売り上げに貢献するような革新的な新サービスが生まれたわけではありません。

一方で、社員たちが自分たちの頭で考え、新しい仕事を生み出すということが、ちらほら出始めています。2018年に「20代の若手社員でグループを組み、高齢者の方々のお宅にガスや灯油などの配送をした際に困り事はないかを尋ね、頼まれれば、重い物を動かしたり、高いところから物をとったりといったお手伝いを行いたい」という提案があり、現在もこの活動を続けています。

すでに1年以上経ちますが、少しずつ地域でも認知されるようになり、活動の頻度も幅も広がってきています。

こうした活動が、今後も社員たちからさまざまな形で起こってくるのが、私が目指す会社の姿です。社長などからのトップダウンではなく、社員の側から新しい事業を提案し、それを実現させ、会社そして地域全体の利益につなげていく。

教育を通じて、そうした社員を育てていくことが、変化の激しい時代の経営者に求められていることなのだと思います。

篠木 雄司 アポロガス会長兼元気エネルギー供給本部長

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しのぎ ゆうじ / Yuji Shinogi

株式会社アポロガス会長兼元気エネルギー供給本部長。生き方のインフラ教育研究所所長。福島市教育委員。1962年5月生まれ。県立福島高校、慶應義塾大学商学部卒業後、東邦銀行入社。平支店、国際部、NewYork‐trainee、相馬支店勤務等を経て、1993年に、アポロガスへ入社。2007年、代表取締役社長に就任。2019年5月、アポロガス会長に就任と同時に人生のすべてに通じる生きる姿勢と折れない翼を伝える目的で、生き方のインフラ教育研究所所長に就任。コロラドのロッキー山脈麗の町でパイロットライセンスを取得した経歴を持つ。

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