新人研修でラジオDJする福島のガス会社の凄さ

世界最先端の社員教育を自然に実現していた

そのため、変化対応能力のある組織をつくっていくには、そこで働く人が変化対応能力を磨いていくことが不可欠です。そして、そうした人材をしっかりと育てていくことができれば、どんな変化にも柔軟に対応していくことができます。そのことは結果的に経営の安定につながっていくと考えたのです。

近い将来、そうした組織となるために、いまとれる最良の戦略は「人づくり」をしっかりと行っていくことだろう。私はそう考え、2011年から「新卒採用」に踏み切り、彼らにさまざまな研修を実施していくことを決めました。

ミッションはファンレターを100通以上もらうこと

当社の新人研修では、いわゆる「業務研修」にあたるものがほとんどありません。新人研修で何をするのかというと、新入社員には、とにかくいろいろな未知の体験に挑戦してもらいます。

代表的なものが、入社して2週間目にスタートする地元のFMラジオ局での「ラジオDJ研修」。週1回、10分間の自分の名前のついた冠番組を1年間、担当してもらうのです。そこで新入社員たちは、生放送でのDJのほか、番組の企画やゲストの選定、原稿づくりなど、ラジオ番組づくりに関わるあらゆる仕事を体験することになります。

ラジオDJ研修では、「1年間で、ファンレターをひとり100通以上集める」というミッションが課されます。新入社員はたいてい、ラジオでパーソナリティーをしていれば、ファンレターは自然に来るものだと思っています。ところが、現実は違います。何もしなければ、1通も来ません。そのことに、数カ月もすると気がつきます。そこで彼らのスイッチがオンになります。

「ファンレターをもらうには、何をしたらいいんだろう?」「どうしたら100通も集められるんだろう」と、自分の頭で考え始めるのです。そして、家族や友人、さらには外まわりなどで出会った人などにお願いしてまわったりなど、具体的な行動に出るようになります。その結果、これまで20人くらいの社員がこのミッションを経験していますが、全員が100通を集めることができています。

また、毎週のゲストのブッキングも自分で行わなければなりません。しかもゲストの条件は「地元企業の入社1年目から3年目までの若い社員」です。では、そのような人たちをどうやって探していくか。彼らは知恵を絞るようになります。

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