アサヒ「スーパードライ」が王者ゆえ抱える悩み 大黒柱が健全なうちに次世代を取り込みたい

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「スーパードライの年代別構成比を見ると、全体の約50%が50代と60代。一方、20代は約10%、30代は約15%にすぎません。中高年の支持は大変ありがたいのですが、年代別に偏りがあり、若年層を取り込みたいのです」(同)

例えば“DRY THE COOL アンバサダー”である女優の今田美桜(いまだ・みお)さん(1997年生まれ)が、在京テレビ局の番組に次々に出演し、「ザ・クール」を瓶飲みするシーンも披露した。コンセプトショップの来店客の中には「テレビで今田美桜さんが出ているのを見て来ました」(20代男性)という人もいた。

後述するが、「スーパードライ」は1987年発売のロングセラーブランドだ。一方で「ブランドは消費者とともに歳をとる」という言葉もある。その危機感があった。

若者の「酒離れ」と「外食需要」

「最近の若者は酒を飲まなくなった」というオジサンの声が、全国各地の居酒屋で聞かれる。ビール会社にとって気になる話だが、これはデータからも裏づけられるのだ。

2019年3月に発表された国税庁の「酒レポート」によれば、「成人1人当たりの酒類消費数量」(年間)は1992年度の101.8リットルをピークに減少し、2017年度には80.5リットル。最盛期から2割減となった。

「飲酒習慣あり」(週3回以上の飲酒)で見ると、成人男性全体が42.4%に対して20代(20~29歳)は14.5%。成人女性は全体が15.0%、20代は6.5%にすぎない。

「20代や30代は、家庭で飲む頻度は少ないですが、飲食店で飲む頻度は他の世代に比べて多い。しかも、平日夜に仕事仲間と飲む場合、休日に友人・知人と飲む場合、1杯目は20~24歳では6割、25~34歳では8割がビールを頼んでいます。そこでおいしいと感じたブランドを家庭でも飲む傾向にあります」(古澤氏)

「とりあえずビール」はまだ根強いようだが、同データでは飲み方の変化も表れている。

1989年度に全体消費量の約71%を占めたビールが2017年度には約30%と半分以下になった。一方で、1989年度はごくわずかだったリキュール(第三のビール含む)が2017年度は約25.9%と増大。果実酒も増えた。この間に、清酒は約15.7%から約6.0%に落ち込む。

酒税法の問題も指摘される。日本のビール税率は突出して高く、350ミリリットル換算で77円が税。一方、ワイン(果実酒)は高級品でも750ミリリットル換算で60円にすぎない。

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