アサヒ「スーパードライ」が王者ゆえ抱える悩み 大黒柱が健全なうちに次世代を取り込みたい

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「消費者と酒類の出合いを増やす」では、成功事例がある。サントリーの「ハイボール」だ。2008年、「失うもんは何もないから、ウイスキーを何とかせい!」と、サントリーホールディングスの佐治信忠会長兼社長(当時)に言われ、復活に向けた取り組みが始まった。

当時、サントリーのウイスキーを核とする洋酒事業の売上高は、1983年の約6300億円をピークに25年にわたって落ち込みが続き、最盛期の5分の1にとどまっていた。2010年、「ウイスキーV字復活劇」を取材した際に印象に残ったのが、次の言葉だった。

「水割りやロック、ストレートで飲むウイスキーは、酒場での取り扱いも減り、2軒目のスナックやクラブで楽しむ酒となっていた。でも1軒目の居酒屋やレストランだけでお客さんは帰ってしまう。ウイスキーとお客さんとの出合いも少なくなっていた」

また、それまで同社が勧めてきた水割りやロックの黄金比率(アルコール度数が12%以上)を、消費者は「濃い」と感じていた。好んだのは8%に薄めた味だった。そうした変化に気づき、「1軒目で乾杯される酒」に改革を進めて大成功を収めたのだ。

当時の取材では、「ウイスキーはオヤジくさい」「アルコールが強くて飲みにくい」「食事に合わない」という消費者の潜在意識もあったと聞いた。わざわざ紹介したのは、多くの部分がビールにも当てはまると感じたからだ。

「飲食店」への普及も進めたい

ビールの販売は「家庭用」(約5~6割)と、飲食店への「業務用」(約4~5割)が2本柱だ。業務用は利益幅が少ないが、1回の消費量が格段に違う。だが業務用の営業は、競合各社も強化するので、オセロゲームのようにひっくり返されることも多い。

「スーパードライ」ブランドの責任者である古澤毅氏(画像提供・アサヒGHD)

「ザ・クールの飲食店への卸軒数は、発売3カ月で約3000店となりました。国内に当社の樽生を取り扱う飲食店は約26万軒あり、それに比べるとまだまだですが、着実に増えています」(古澤氏)

中高年が“大黒柱”である、世代別の訴求に関しては、こんな思いを持っている。

「50代、60代のお父さん世代には、スーパードライが支持されているので、20代、30代にも“親子で飲みませんか”をもっと働きかけたい。飲食の世界では『お父さんが好きだった』(から自分も)という原体験は大きいですから」(同)

総じて、父と息子の仲がよい家庭も増えた時代性は、追い風かもしれない。

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