あのスシローが手がける「すし居酒屋」の正体 「飲めるサーモン」など不思議メニューが続々
東急東横線の綱島駅(神奈川県横浜市港北区)の近くを歩いていると、真新しい外観の飲食店が目に入る。店の入り口には「鮨・酒・肴 杉玉」という看板が掲げられている。実はこの店舗、回転ずしチェーン最大手「スシロー」を展開するスシローグローバルホールディングスが手がける大衆寿司居酒屋なのだ。
店内にはカウンター席やテーブル席、座敷など合計60の座席が用意されている。店の奥では、伊勢えびが大きく描かれている壁が存在感を放つ。スシローのように回転レーンがあるわけではないことから、何も知らないまま店に入れば、スシローグループということに気づくことはないだろう。
「不思議メニュー」がずらり
メニューに目を移すと、すしを中心とした海鮮系が中心で、大半の商品が299円(税抜き、以下同)という設定。中でも人気なのが杉玉ポテトサラダ(399円)。刻んだガリの入ったポテトサラダに、あおさのりの入ったパン粉をまぶしている。それを球体の器に入れて提供しているのは、いわゆる“インスタ映え”を狙ってのものだ。
ほかにも「飲めるサーモン」「キャビア寿司」「おでんの大根なのに天麩羅」といったユニークなメニューが数多く目立つ。杉玉を運営するスシロークリエイティブダイニングの金井智秀社長は「あえて不思議な名称にすることで、お客様と従業員との間でコミュニケーションが生まれるきっかけになる」と、その狙いを語る。
すしを中心に据えている、という点についていえば杉玉とスシローは共通している。だが、商品そのものは回転ずしで提供されているものとはかなり違う。ネタは厚切りにしてボリューム感を打ち出すほか、杉玉のシャリについては黒酢やバルサミコ酢を加えるなど、差別化も図っている。
今回オープンした綱島の店舗は神奈川県では初、全国では7店舗目となる。スシローと言えば、直近の業績は競合のくら寿司やかっぱ寿司を引き離し、業界内で“独走状態”にある。本業が好調にもかかわらず、なぜ居酒屋業態に進出する必要があるのだろうか。
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