途上国援助充実に、日本も航空券税導入を UNITAIDのドゥニ・ブルーン事務局長インタビュー
――UNITAIDは世界17のドナー国によって支えられています。
17カ国のうち、航空券税を導入しているのは10カ国です。他の国は「革新的」ではなく、「伝統的」な手段、つまり、国家予算などから資金を拠出しています。英国は海外開発局の予算を振り向けています。UNITAIDの財源のうち、航空券税で賄われているのは全体の70%。残りの30%は伝統的な調達方法によるものというわけです。
――2011年にUNITAIDのフィリップ・ドスト・ブラジ理事長(フランスの元外相)に会ったときにも、国際連帯税を導入しているのは10カ国程度だと話していました。各国に受け入れてもらうのは簡単ではない、ということですか。
その通りです。たとえば、ドイツは複数の州で構成される連邦国家。国レベルだけで決めることはできず、州政府の意向も尊重されます。たとえば、ドイツからオランダへ行くような場合には、航空機を利用しなくても済むなど、各国の利害調整が複雑です。日本の場合には、海外へ出掛ける多くの旅客が航空機に乗らなくてはならないので、問題にはなりませんが…。
以前、ロシアの副財務相と、航空券税の話をした際には、「(ロシアの航空会社の)アエロフロートにとても悪い影響が出るから駄目だ」と言っていました。そこで、「アエロフロートがフランスの空港を離陸するときには(利用客が)航空券税を払っているのを知っていますよね」と聞いたら、「そういうことは言うなと」。
航空券税は航空会社に課されるものではない。航空券にかかるものなのです。旅客が航空会社を通じて支払う。すべての航空会社は空港税を払いますが、航空券税は払いません。旅客のおカネを集めるだけであり、航空会社のおカネの負担は発生しない。航空会社どうしの競争や業績に悪影響を及ぼすものでもありません。影響は完全にゼロ。おそらく、航空券税の仕組みが十分には理解されていないのでしょう。
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