途上国援助充実に、日本も航空券税導入を UNITAIDのドゥニ・ブルーン事務局長インタビュー

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途上国にエイズ、結核、マラリアの治療薬を提供する国際医薬品購入機構(UNITAID、ユニットエイド)は、「航空券税」と呼ばれる「革新的な資金調達」の手段を通じてワクチン購入の多くを賄う。航空券税は使途を国際貢献などに限定した「国際連帯税」の1つで、国際線の航空券に少額を課税する仕組みだ。
 海外へ出発する搭乗客が空港税や空港使用料の一部として追加徴収される。日本でも国際連帯税を導入してもらおうと、再三にわたって来日しているUNITAIDのドゥニ・ブルーン事務局長に現在の取り組みなどを聞いた(聞き手:松崎 泰弘)。

――UNITAIDは世界17のドナー国によって支えられています。

17カ国のうち、航空券税を導入しているのは10カ国です。他の国は「革新的」ではなく、「伝統的」な手段、つまり、国家予算などから資金を拠出しています。英国は海外開発局の予算を振り向けています。UNITAIDの財源のうち、航空券税で賄われているのは全体の70%。残りの30%は伝統的な調達方法によるものというわけです。

Denis Broun●パリ大学医学部(専攻は熱帯医学と疫学)、パリ政治学院卒。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の欧州、中央アジア地域担当ディレクター、国連児童基金(UNICEF)の保健担当ディレクター、世界銀行の製薬部門シニア・スペシャリストなどを歴任。2011年9月から現職。

――2011年にUNITAIDのフィリップ・ドスト・ブラジ理事長(フランスの元外相)に会ったときにも、国際連帯税を導入しているのは10カ国程度だと話していました。各国に受け入れてもらうのは簡単ではない、ということですか。

その通りです。たとえば、ドイツは複数の州で構成される連邦国家。国レベルだけで決めることはできず、州政府の意向も尊重されます。たとえば、ドイツからオランダへ行くような場合には、航空機を利用しなくても済むなど、各国の利害調整が複雑です。日本の場合には、海外へ出掛ける多くの旅客が航空機に乗らなくてはならないので、問題にはなりませんが…。

以前、ロシアの副財務相と、航空券税の話をした際には、「(ロシアの航空会社の)アエロフロートにとても悪い影響が出るから駄目だ」と言っていました。そこで、「アエロフロートがフランスの空港を離陸するときには(利用客が)航空券税を払っているのを知っていますよね」と聞いたら、「そういうことは言うなと」。

航空券税は航空会社に課されるものではない。航空券にかかるものなのです。旅客が航空会社を通じて支払う。すべての航空会社は空港税を払いますが、航空券税は払いません。旅客のおカネを集めるだけであり、航空会社のおカネの負担は発生しない。航空会社どうしの競争や業績に悪影響を及ぼすものでもありません。影響は完全にゼロ。おそらく、航空券税の仕組みが十分には理解されていないのでしょう。

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