途上国援助充実に、日本も航空券税導入を UNITAIDのドゥニ・ブルーン事務局長インタビュー
――欧州では導入にあたって、経済危機の影響はないのですか?
フランスにおける影響は限定的です。旅客が減っているわけでもありません。航空券税は年間2億ユーロ。そんなに大きな額ではありません。これだけで財政を立て直すのは簡単ではありませんが、貧困層のために医薬品を購入する財源には十分なりえます。
航空券税は限られた人を対象にした課税といえるでしょう。航空券を購入できるぐらい、裕福な人々から税を徴収しようという仕組みです。結果として、貧困を強いられている人々がクスリを買う際の助けになります。
――航空券税だけでなく、金融取引税も国際連帯税の選択肢の1つとして検討していますね。
金融取引税をめぐっては現在、さまざまな議論が交わされています。現在、取り入れているのは世界で40カ国。欧州連合(EU)加盟国でも11カ国が導入の方向で動いています。台湾でも現在、同税を採用。国家予算への貢献は大きい。ダイナミックな成長を遂げている発展途上の国・地域にとって良いお手本です。
一方、英国は金融取引税導入に反対しています。同国は1985年、サッチャー元首相の時代に、株式市場のすべての取引にかかわる税として「印紙税」を導入しました。
金融取引税以外にも選択肢はありますが、実際には導入が難しそうですね。たとえば、インターネットや移動電話に関して課税するという案がありますが、「これらはもはや、富裕層を対象にした税ではない」と多くのアナリストが指摘しています。「むしろ、貧困から抜け出すための手段ではないか」とも。
金融取引税で問題になるのは、徴収したおカネの使途です。欧州でもすべての国が国際連帯税として使われることを、希望しているわけではありません。中には政府債務の削減に充てたいと考えている国もあります。各国が足並みをそろえるのは容易ではない。「公共福祉」の向上に使うべきではないかという議論もあります。衛生状態、教育環境の改善や温暖化対策などに振り向けるのが大事という考え方です。
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