途上国援助充実に、日本も航空券税導入を UNITAIDのドゥニ・ブルーン事務局長インタビュー
――米国には導入を働きかけているのですか。
難しいですね。航空会社のロビー活動は極めて強力です。それに、国家ではなく、州政府ベースで徴収する税金が多いなど、仕組みも複雑です。米国はUNITAIDのドナー国ではありません。しかし、(伝統的な)資金調達の面では、同国政府と連携しています。
――日本は導入に積極的ですか?それとも、消極的ですか?
多くの日本人旅客がフランスの空港の利用を通じて、UNITAIDに貢献してくれています。1回につき、日本円で100円を払ってくれる。だから、日本への導入もさほど難しくはないと考えています。
私はもう7年前からたびたび、日本を訪れています。貧困国に対するより効率的な投資を行えるよう、日本がUNITAIDのドナー国になってくれるのを望んでいます。
今はとにかく、理解を一段と深めて欲しい。以前、日本で財務相と話し合った際には、「連帯税導入は難しい」といわれました。なぜならば、「国民に人気のない消費増税をやろうとしているからだ」と。その点、航空券税は少額で、欧州ではすでに定着しています。財務相は同税のコンセプトを理解していなかったようです。
日本の政治家はUNITAIDにかなり関心を抱いています。国会議員らとディスカッションをしたら、理解してくれました。ただ、彼らが実際に導入へ動くかとなると、ちょっと難しい気もします。
――それは、税の仕組みに対する“誤解”以外の理由もあるのでしょうか。
震災や福島の原発事故の影響もあるでしょうね。「連帯」となれば、まずは東北における「連帯」ということになります。
――日本はODA(政府開発援助)の形で、途上国支援にかなり貢献しています。
フランスでは航空券税がODAの一部にカウントされています。その結果、対外援助の額は減少していません。航空券税のおかげなのです。両者に競合関係はなく、補完的なものです。
ただ、UNITAIDの場合、あくまでも民間セクターと行動をともにします。そこが、UNICEF(国連児童基金)やWHO(世界保健機関)などとの違いでしょう。われわれは医薬品会社と連携して仕事をします。医薬品市場へ介入し、企業と価格交渉を行い、会社間の競争も促す…。医薬品市場へアクセスするのが自分たちの役割です。
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