ホームレスがなかなか口に出せない家族事情 ふとしたことで意外と簡単に壊れて戻らない

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2006年には上野公園のテント村に夫婦で暮らす女性(50代前半)に話を聞いたことがあった。女性のホームレスは昔から少ない。

「私はもともと新宿で古本屋(古雑誌などを路上で売る違法露店)で働いてたんだけど、仕切っていたヤクザともめてクビになっちゃった」

働けなくなった彼女は、一時は女性センターという福祉施設に身を寄せていたという。

「施設に入ってると職員が、『あれをしろ、これをするな』ってうるさくてね。二人部屋で共同生活することになった女と気が合わなくて。ずっとケンカしっぱなしで嫌気がさして飛び出しちゃった」

そしてそのまま、上野公園にやってきて公園に住み始めたという。そうして生活するうちに同じく上野公園で生活する男性と出会った。男性はまだ、30代前半とホームレス生活をする人の中ではかなり若かった。

「それで結婚して一緒に生活してる。もちろん結婚ったって住所もなくて籍入れられないから、口約束だけどね」

旦那さんは定職には就いておらず、たまに日雇いの工事現場で働いたり、引越し業者のアルバイトをしているそうだ。

夫婦で暮らすテントは、調理器具などもそろっていて暮らしやすそうだった。

上野公園はその後、野宿生活に対して強制排除を実施した。話を聞いた後も何度か会う機会はあったが、結局2人がどこに行ったかはわからない。

家庭崩壊とホームレスは、もはや異世界の話ではない

今回はホームレスと家族の事情について、書かせてもらった。

上野公園テント村にあったテント。盆栽などが飾られ、簡易的な住まいとは思えない(筆者撮影)

ホームレス生活をしている人にも過去には家族はいたし、現在も家族がいる人もいた。ホームレス生活をしながら家族を持っている人にも出会った。悲喜こもごもだが、やはり“悲”の色合いが強かった。

彼らに話を聞くと、ふとしたきっかけで家族は意外と簡単に壊れ、失われ、そして二度と戻らないものなんだと思い知った。「ホームレスと家族」というテーマは自分とは関係ない異世界の話のように思えるが、実はいつ自分の身に起きてもおかしくない身近な話だと思う。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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