ホームレスがなかなか口に出せない家族事情 ふとしたことで意外と簡単に壊れて戻らない

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2012年頃に高田馬場の戸山公園の芝生でくつろいでいた男性(50代)にお話を伺った。

「生まれは沖縄、まだアメリカに統治されてた頃だよね。父親は俺が生まれたときにはすでに60歳を超えてるだいぶ爺さんだったんだけど、これがすごく荒かった」

父親は酒を飲むとすぐに大暴れした。そして時には包丁を振り回した。

「『ぶち殺すぞ!!』って追いかけてくるんだよね。俺も殺されたくないから、走って逃げた。とにかく捕まらないように畑の中を逃げまくった」

父親は3日に1度は暴れた。そのつど少年だった彼は全力で逃げたという。

「いったん逃げたらその日は家には帰れないからね。畑とかで寝るしかない。もちろん寝心地は悪いけど、父親に捕まるよりはいいから。そうやって野宿するのに慣れたから、今こういう生活しててもどうってことはないね(笑)。

母親は毎日のように殴られて苦労が耐えなくって、俺が13歳の時に死んじゃった。その後も父親は酒を飲んでは暴れていたけど、その3年後にポコっと急に倒れて死んじゃった。俺は16歳だったけど、それで本土に行こうって思った」

父親みたいに周りに迷惑かけたくない

まずは沖縄では砂糖工場で働いて、お金を貯めた。お金を貯めた後はいったん親戚を頼り京都に出て働いたが、あまりなじめず改めて東京に引っ越した。

「俺は不器用なんだよね。沖縄出るまでドルしか使ったことなかったから、なかなか円の感覚に慣れなくて、それで仕事をクビになったりした。今も苦労してホームレス生活してるけど、でも酒はいっさい飲まないよ。バクチや女遊びもしない。お金があるときは漫画喫茶で漫画を読むくらいが、唯一の趣味。

父親みたいに周りに迷惑かけたくないからね。ある意味反面教師になっていて、ホームレスになってもやけにならずに済んでる」

彼は、比較的明るく語ってくれた。

彼のように、家族と折り合いがつかず、家出同然に実家を飛び出したという人は少なくなかった。

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