知らないと危ない!「雷」をめぐる2つの事実 長靴やレインコートでは身を守れない

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「雷」に関する迷信や言い伝えは少なくありませんが、鵜呑みにすると危ないことも(写真:momo/PIXTA)

梅雨の季節が終わり、いよいよ夏本番の到来です。梅雨末期から夏にかけて増えるのが雷。雷の正体が電気であることはいまや常識ですが、雷から身を守るための正しい知識は意外と知られていません。油断すると命にもかかわるので、本格シーズンを前に、正しい知識にアップデートしたいものです。

雷は「積乱雲(雷雲)」から発生します。雷といえば、夏の夕立のイメージが強いと思うのですが、梅雨末期や冬の日本海側でも発生します。梅雨末期は豪雨が多発するものですが、このとき梅雨前線付近にはたくさんの積乱雲が発生しています。そして、日本海側に雪を降らせる雲もまた、積乱雲なのです。ちなみに、冬の日本海側で発生する雷は、世界的にみるととても珍しい現象だといわれています。

人為的な原因で雷が発生することも

それでは、なぜ積乱雲から雷が発生するのでしょうか。雷を発生させるのは、積乱雲を構成している小さな氷のかけら(氷晶)です。暑い夏空に氷のかけらが存在するのは意外に思えるかもしれませんが、積乱雲の頂上付近の気温は-40℃近くになるので、空気中に氷が存在していてもおかしくはないのです。

氷晶はまわりの水蒸気をとりこみながら成長し、あられになります。そして、あられと氷晶がぶつかることで電気が発生します。こうして、地面と雲の間で大きな電位差(電圧)が生じたときに、その電位差を解消しようとして空気の間を電流が流れます。これが「落雷」です。このとき、地面と雲との間の電流の通り道が光って見えるのが「稲妻」で、その通り道のまわりに発生する衝撃波の音が雷鳴となるのです。

なお、人為的な原因で雷が発生することもあります。例えば火災や爆撃も雷の原因になります。どれも強い上昇気流が発生することで積乱雲が発生するのです。火山の噴火でも雷が発生します。このときは、積乱雲は発生しないことが多いのですが、火山の噴火でも強い上昇気流が発生するうえ、噴煙の中の火山灰などの小さな粒子がぶつかり合うため、電気が発生するのです。

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