新海監督「天気の子」で田端が聖地になる予感

特異な駅前地形がストーリーの起伏を生んだ

新海誠監督の最新作『天気の子』は全国東宝系で公開中 ©2019「天気の子」製作委員会

新海誠監督の最新作『天気の子』が7月19日に公開された。新海監督の映画は背景画の美しさが大きな特徴の1つだが、雲の切れ目から地上に降り注ぐ陽の光や、嵐を予感させる巨大な積乱雲などが今回の映画でも印象的に描かれている。

新海作品のもう1つの持ち味は、鉄道のある風景が印象的に使われていることだ。『秒速5センチメートル』の小田急線参宮橋3号踏切、『君の名は。』の高山本線飛騨古川駅など、普段見慣れた風景が、映画の中では「一度見たら忘れられない風景」に変身する。

新海作品に多い鉄道のシーン

天気の子でもJR山手線・京浜東北線の田端駅南口付近をE5系新幹線が走るシーンなど、いくつか鉄道が印象的な場面が出てきた。

田端駅南口は、もともと極めて特徴的な場所だけに、映画をご覧になった人なら強く心に残ったと思う。

では、『天気の子』で登場する田端駅南口の特徴を挙げていこう。

最大の特徴は、駅前に店が1軒もないことだ。あるのはなんと葬儀会場のビル1棟だけ。無人改札のあるこぢんまりとした駅舎を出ると右側に急な上りの階段、正面にゆるやかな上り坂が続く。この坂道は、車は通行禁止。田端駅南口は、駅前に車を乗り付けられない場所なのである。

乗降客も山手線駅の改札口としては極端に少ない。日中など電車が着いても誰ひとりこの改札口を通る人はいない、ということがよくある。田端駅で降りた乗客は皆、繁華な北口改札の方へ向かっている。

2018年度における1日の平均乗車人員は4万7440人で、山手線では鶯谷駅、目白駅に次いで利用者が少ない。JR東日本の駅では100位に位置する。都心近くにありながら、まさにローカル線の小駅といった風情を漂わせている。

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