知らないと危ない!「雷」をめぐる2つの事実 長靴やレインコートでは身を守れない

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雷にまつわるもうもうひとつの言い伝えに「稲妻と雷鳴の間隔が空いていたら安全」というものもあります。光は一瞬でやってきますが、音が伝わる速さは秒速340mなので、ピカッと光ってからゴロゴロと鳴るまでに10秒かかれば、落雷した場所は3.4km先ということになります。それなら、そこまで近くはないと胸をなでおろす人は多いのではないでしょうか。しかし、残念ながら、この言い伝えも信用してはいけません。

というのも、積乱雲の大きさはだいたい十数キロあります。たとえ3.4km先で落雷があっても、頭上に積乱雲があるのなら、次の瞬間には自分の頭上に落雷する可能性があるのです。というわけで、雷鳴が聞こえたら、自分にも落雷する可能性があると考えて、すぐに安全な場所に避難することが大切です。

「雷様におへそを取られる」は案外侮れない

雷にまつわる言い伝えには「おへそを出していると、雷様におへそを取られる」というものもあります。現代でさすがにこれを信じる人はいないと思いますが、案外侮れない言い伝えです。発達した積乱雲からは冷たい下降流が吹き出すため、積乱雲が近づくとヒンヤリした風が吹きます。つまり、雷が鳴っているときは肌寒くなるので、おなかを冷やさないように戒めるための言い伝えなのではないかという説があるのです。

というわけで、雷の安全に関する言い伝えは鵜呑みにせず、認識を改めて正しい安全対策をとってほしいものです。空が暗くなってきたり、ゴロゴロという音が聞こえたり、ヒンヤリした風が吹いてきたりしたら、積乱雲が近づいているサイン。

気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」「雷ナウキャスト」や、スマホアプリに搭載されている「雨レーダー」の項目などを活用して、積乱雲の今ある場所や今後の動きを確認し、なるべく早く安全な場所に避難するようにしましょう。

また、朝の天気予報で「大気の状態が不安定です」というフレーズが出たら、その日は積乱雲が発生しやすい状態であるということです。雷や急な大雨が発生しやすいので、外に出る予定があるときは、十分に注意したいですし、イベントを予定しているのなら中止や延期も視野に入れたほうがよいかもしれませんね。

今井 明子 気象予報士・サイエンスライター

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いまい あきこ / Akiko Imai

2001年京都大学農学部卒。酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職、編集プロダクションを経て、2012年からフリーに。子ども向けや一般向けにわかりやすく科学を解説する書籍や記事を多数執筆。著書に『気象の図鑑』(共著、技術評論社)、『異常気象と温暖化がわかる』(技術評論社)がある。ほか、医療・健康、教育、旅行分野も得意。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師も務める。

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